「緑川組~MOVE~」 2010/11
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『スピリッツ』vol.26
投稿日時:2010/11/15(月) 17:12

<『スピリッツ』vol.25>
【個々の活躍】
開始10分、HO緑川(商4)のトライで関学の攻撃に火がついた。関学はあらゆる攻撃スタイルで敵陣に攻め込む。BK陣の華麗なパス回しでボールを進めれば、対するFWも力強いモールで一気に敵陣へ。CTB村本(文3)は、WTB長野(社4)のタックルによりこぼれたボールを奪い、そのままトライ。さらにライン際のモールからLO臼杵(法1)がボールを持ち出し、トライをねじ込み、19-0。相手を完封に抑えた関学のリードで前半を折り返した。
後半では、初先発となったSH湯浅(人1)とCTB田中(商4)がそれぞれトライを決める活躍ぶり。果敢に攻め入る関学は着々と得点を重ね、突き放していく。そしてナンバー8小原(人3)が5試合連続のトライを決めた。ディフェンスのミスで1トライを許すも、最後まで攻撃の手を緩めることなく、最終スコア45-7で摂南大から白星を奪った。個々それぞれの役割が果たされ、それがチームの戦力となり、勝利へとつながった。リーグ戦も残すところあと2戦。相手がどこであろうと、全員が全力で戦うのみだ。
【確かな成長】
「リーグを通して成長はしていってる。まだまだやけど、まだまだ成長するよ」と主将・緑川。試合を重ねるごとに強まっていくチーム力。そしてFW、BK共にこれまでの成果が形となって表れてきた。一戦一戦強くなっていく関学。だが彼らは満足することなく、さらなる高みを目指す。すべては栄光へとつながっている。緑川組の進化は続く。
◆両CTBパワフルトライ!田中・村本
今季初スタメンとなった、CTB田中(商4)。「1番上の学年やし、できることやらないと」。そう思い、試合に挑んだ。FB小樋山(人3)からパスを受けた田中は相手DFを突破し、トライをねじ込んだ。「小樋山のおかげ。ごっつあんトライです」と苦笑するも、田中自身の力強いタックルがもたらしたトライ。「ミスが多くて迷惑をかけたんで、確実にできるようにしたい。残り2戦も体張ってばしばしトライ狙って。強い関学を見せたいっすね」。し烈なレギュラー争いを繰り広げる、CTB陣。田中は経験も豊富で突破力も抜群。力強いアタックを武器に、レギュラーの座を勝ち取ることはできるのか。
また、同ポジション村本(文3)もレギュラー不動の座を死守せんと奮起した。今試合を通じて2本目となるトライは、立ち上がりの悪い関学の起爆剤として十二分に価値のあるものだった。また、エリアマネージメントを課題にあげる関学だが、今日はその点においても万全。「BKとFWがどっちも出来上がってきてる」と、リーグ戦すべてに出場している村本だからこそチームの成長を身をもって体感している。そして最終戦に控える天理大の強力外国人CTBのアイセア・ハベアについて尋ねると、「けっこう意識してる」と村本。去年の自称「ハベア係」は、今年も健在なるか。関学優勝請負人から目を離すな。
『スピリッツ』vol.25
投稿日時:2010/11/13(土) 23:21
エースの代役は頼んだぞ!リーグ戦も後半にさしかかり、摂南大戦でSH湯浅航平(人1)が先発する。春から存在感を放ってきたルーキーが、自身の公式戦初スタメンを白星で飾るか。

【代役務める】
リーグ戦後半を控え、怪我によりSH芦田一顕(人3)が離脱する事態が生じた。エースSHの代役を命じられたのは、若き闘士だった。10月31日の大体大戦で初の公式戦出場を果たしたばかりの湯浅が、今度は初のスタメンに選ばれた。
「試合に出られるのは嬉しいんスけど、芦田さんの代わりなんで。それでチーム力が落ちたら、芦田さんに申し訳ない。補えるくらい、頑張りたい」。エースの穴を埋める、その重責を背負って試合に臨む。
【放つ存在感】
春先からトップチームに名を連ねた。5月、芦田が怪我により戦線を離れていた間は、中西健太(経2)に続いて出場機会を得ていた。ルーキーのなかでも存在感を放ち、やがて夏にはU20日本代表にも選ばれる。大舞台でしか味わえない経験を身につけ、チームに合流した。
エース芦田を筆頭に、各学年に精鋭を揃える関学SH陣。公式戦ともなれば、出場チャンスは限られてくる。「(上には)芦田さん、健太さんがいるんでジュニアで頑張ろう」。シーズンの本格化を前に、そうした思いがあった。しかしリーグ第4戦でトップチームからお呼びがかかった。
公式戦デビューとなった大体大戦では後半途中から投入された。試合への緊張もあったが、それよりもパス供給にプレッシャーを感じた。それは、すぐ背後に構える〝攻め屋〟渕本伸二郎(社4=SO=)のリズムを崩さないかという心配。「緊張しました」と振り返る。初スタメンの摂南大戦ではSO新里涼(社3)と組むことになり「思いっきりやりたい」と意気込んだ。
【エリア獲得】
湯浅の持ち味はキック。エリアマネージメントの向上を図るチームにとって、何よりも頼もしい武器となる。「とことんキックで。敵陣深く攻め込めれたらと思います!」。『〝エリア〟の騎士』がエースの代役を務めるべく、楕円球を蹴り上げる。
(記事/写真=朱紺番 坂口功将)
『欲しいのは10?15?』
投稿日時:2010/11/08(月) 20:02
◆連載/闘士たちのMOVE 第4回「欲しいのは10?15?」
ライバル関係。そう言ってしまうのは、見る者が当てはめた都合の良い相関図。実のところ、互いを意に介することはそれほどない。けれども、欲するものが同じものならば、必然として2人の思いは交錯する。それはアスリートが持って然るべきエゴか―。

10月31日、大体大戦。後半が始まってまもなく、チームはメンバー交代策を巧みに講じた。始まりはSH芦田一顕(人3)のシン・ビン(一時的退場)で、中盤がぽっかりと空く形に。その穴を埋めたのは、FBとして今季初スタメンを飾った小樋山樹(人3)だった。それまで位置していた最後尾から中盤へ。ものの3分間、FWからBKの中継役を行なった。そして後半13分にリザーブのSH湯浅航平(人1)がSO新里涼(社3)と入れ替わり投入される。湯浅はSHのポジションに。小樋山はまだ中盤、ときおり後方にも下がるが大体はSOの位置にいる。それから8分後、芦田に変わり渕本伸二郎(社4)がピッチに入る。渕本がSOに入り、小樋山はFBとして最後尾に戻った。
約10分間で見られた選手たちのポジションチェンジ。そこには試合とは別の、10番と15番をめぐる水面下のバトルが少なからずあったように思える。本編の主人公は、小樋山と渕本の2人だ。

「出られるなら、なんでもいい」。ポジションへのこだわりを問えば、そう一蹴されるに違いない。小樋山のレギュラーへの思いは強い。そのぶん、ポジションがどうと言うタイプではない。
「どちらもやり慣れている。問題ない」。10番と15番のどちらに就こうとも、プレーできる自信を持っている。
高校時代はSOで、大学1年生次の合宿からFBにコンバートされた。2年生の春にSOを担ったが、関西2連覇におけるFBとしての立役者のイメージがある。しかし、3年目の今シーズンは厳しいものになった。春先こそFBの定位置に座ったかに見えたが、やがて渕本がFBに就く。ならばSOはというと、ケガによる長期離脱から完全復帰した新里がディフェンスと堅実なプレーでレギュラーを掴んでいた。しばらくはBチームで過ごす日々が続き、リーグ戦が開幕しても状況は変わらなかった。
「今までずっと1年から出させてもらってて。高校のときも1年から出られてて。こういうのは初めて」。ポジション争いに敗れ、挫折に直面していた。
小樋山は自らの武器を強みに、一方で課題とむきあい、プレーを高めていく選手だ。精度の高いキックはSO、FBを兼任できうる最大の武器。それに加えてポジション柄、体を張ることができるフィジカルの強さが求められるが、彼の課題はそこだった。それを克服するために、今春にはCTBにも挑戦しタックルを磨いた。レベルアップのためには一切の妥協がない。
それでも選ばれずにいた、レギュラーのポジション。「正直、くさっていた」と心が折れていた。だが、光は差す。リーグ第4戦、エリアマネージメントの向上を図ったチームは、小樋山をFBとしてスタメンに抜擢したのだ。
「めっちゃ嬉しかった。今までとは違う気持ちで。慢心みたいな…1年から出てたから。そこまでAチームの重みを感じてなかった。
Aチームが一番上。みんなそこを目指している。幸せやなって思った」。
小樋山はトップチームでプレーすることの喜びを噛みしめていた。
スタメンの席は15個。誰かが一つの席に新たに座れば、同時にそこにいたものが追い出される形になる。スタメン争いとはそういうもの。大体大戦で小樋山がFBに就き、リザーブとなったのは渕本だった。「悔しいっス」。彼と同じ状況になって、そう思わないアスリートはいない。
ポジションへのこだわりでいえば、小樋山とうって変わって渕本は相当に強い。「正直SOの方が好き」が本音。その後に付け加える。「出れるなら、どこでも」。
小学生時代から就くポジションで、大学進学後もSOとして関西2連覇に貢献した。昨年からFBも兼任するようになり、今シーズンは15番に座った。
「SOは視野が大事。SOの経験があるから、FBでも。
FBは全部見える。自分以外の残り29人全部が。状況判断しないとダメ」。10番で培った判断能力は場所を変えてもなお発揮されている。
渕本の魅力は何よりもその攻撃性だ。SOにおいての特性か、15番で出場しようとも変わることはない。いわば『SO的FB』。チームとしてもダブルスタンドで臨む場面もある。ディフェンス面と堅実さに定評ある新里と、対照的に攻撃的でクセ者の渕本。2枚のSOの同時起用、それを狙ったうえでの、渕本のFBへの転換があったように今では思える。
しかし第4戦で後輩FBに席を譲ることになった。自身にとって公式戦でのベンチスタートは2年生次のリーグ第2戦(対京産大)以来。いつもとは異なる緊張感とともに、「はよ出たいな」とピッチへの思いを募らせていた。そして後半22分に投入される。ポジションは待望の、SOだった。
そのとき試合は2トライ差で関学がリード。「接戦だったんで、ぼくが入ることで得点を期待されてた。攻めどころ、かな」。普段からアタックが大好きな男が、大好きなポジションで躍動する。まさしく、水を得た魚のごとし。それからはBKが両WTBを中心にプレーを展開し、追加点を重ねた。
試合後、SOのポジションについて聞くと「楽しいっス」と渕本は白い歯をのぞかせた。
Kwangaku sports
スタメンの座をめぐって交錯する2人の思い。共通するは「出れるなら、どこでも」という台詞。それでも互いの心中は異なる。思惑や理想、ときにエゴが絡む。それはアスリートならば必ず持っているもの。むしろ、それなくして戦えるはずもない。他校との対戦と同時に繰り広げられる、チーム内でのレギュラー争いというバトルには。
欲するものが同じである以上、必然としてライバルになる。就くのは10番、それとも15番? これからの戦いで鍵を握るのは相手より抜き出た武器か、思いの強さか。それとも、もうひとりのライバル、新里の存在か。
さてリーグ戦後半、先発オーダーに記されるのは果たして。■
(記事=朱紺番 坂口功将)
『スピリッツ』vol.24(裏面)
投稿日時:2010/11/05(金) 11:22

<『スピリッツ』vol.23(裏面)>
【周囲からの重圧】
先週の敗戦でもうあとがなくなった関学。それだけにトライゲッターの背負う責任の重さは計り知れない。そんな中で臨んだ今日の試合。小原は前半23分にゴール直前左中間ラックよりボールを持ち出しトライ。これで4試合連続。「最近はボールをもらう機会が増えてきた。そこでどれだけ倒れずにいけるようになるかですね」。リーグを重ねるごとに他チームからのプレッシャーも増してきた。「今までやってきたことの精度を上げること」が、小原のみならずチーム全体がリーグ後半戦を戦い抜く鍵となるだろう。
【挑戦者の精神】
「(天理大は)ちょっと気になる」と語る。関学を破った近大を相手に、この日48―0で大勝した天理大。その攻撃力はやはり関西トップクラス。「でも、どこが相手でも自分たちのプレーをするだけです」と小原。チャレンジャー精神を再燃させた関学。目の前の敵を一戦一戦確実に破っていくだけだ。そして、残り試合を全勝すれば優勝の可能性はまだある。小原のトライがチームに勝利を呼び込むのだ。
◆今季初出場!湯浅
後半10分、SH芦田(人3)が反則を取られ、シンビンに。そこでリザーブとして投入された湯浅(人1)。湯浅にとってこの試合が今季、Aチーム初出場となった。「芦田さんとか、SHの先輩がすごいんで、その人と代わってもチーム力が落ちないように」と自らを奮い立たせた。SHはチームの攻撃の起点となるポジション。湯浅はSO渕本(社4)へとパスを回し、そこから関学は左へと展開。そしてWTB松野尾がトライを決めた。得点に絡み、デビュー戦を白星で飾った。湯浅は「渕本さんに従っただけ。それしかしていない」と謙虚に語った。 「まだ大学のラグビーに慣れていない。ビデオとかで勉強して、多くのプレーを身に付けたい。自分の持ち味はキックなので次出れるときには決めたいです」。湯浅はJAPANにも選ばれた実力の持ち主。レギュラーの座を勝ち取ることはできるのか。今後の活躍に期待がかかる。
◆INTERVIEW―大崎監督
近大戦の敗戦後、2日間ほど重苦しい空気が流れていた。しかし、その後は負けを受け入れ、しっかりと前を向いて大体大戦に備えた。コミュニケーション不足の改善など、1週間でできることをやった。そうしたことが勝利につながった。だが、勝ちが決まった後に奪われた2トライは余分。気持ちの緩みが原因であり、反省点だ。最終戦のことは考えず、チャレンジャーだと思って一戦一戦を戦っていきたい。
『スピリッツ』vol.24
投稿日時:2010/11/04(木) 11:14

<『スピリッツ』vol.24>
【感謝の気持ち】
今までとは違う気持ちで臨んだ一戦だった。一年生次よりレギュラー不動の座を守り抜いてきた小樋山。しかし開幕戦でAチーム入りを果たせず、スタンドから観戦する日々が続いた。「正直、Bではくさってた」。こう振り返る。だからこそ、「Aでやるラグビーって幸せなんやなって思った。今までは心のどこかで(Aでやるのが)当たり前やと思ってたんかな。今日の試合はチームの代表という重みを感じてプレーしました」。
この日、小樋山はこれまでの鬱憤を晴らすかのようにフィールドで躍動した。走ればボールを少しでも前に進め、コンバージョンを蹴れば五回中五度成功の職人技を見せつけた。以前「(Aチーム入りをするためには)これという武器が必要。コンバージョンの精度をもっと上げたい」と語った。それだけに、今日の結果は自信につながった。今後、強敵と試合をするなかで1点を争う展開になった際、小樋山の正確無比なキックは勝敗を左右するだろう。
【挫折を越えて】
「試合に出れない人がいる。その人らの分も頑張りたいし、満足してもらえるプレーをしたい」。大学に入って初めて経験した挫折も、その悔しさもすべては今の小樋山につながっている。ようやく前線に舞い戻ってきた小樋山のプレーから、今後目が離せない。(山本大輔)
◆心機一転―主将・緑川
いつも通りフィールドに出てくる朱紺の闘士たち。そこにいつもと異なる姿がひとつだけあった。主将・緑川の坊主頭だ。「(近大戦の)敗戦から心機一転するため」。と緑川は話す。大体大戦では、課題であったコミュニケーション不足を克服するために、自らが積極的に声掛けをした。そして見事勝利。嫌な流れを断ち切ることに成功した。残る試合はあと3戦。緑川を中心におごることなく、一戦一戦を挑戦者の気持ちで突き進んでいく。(宮本直実)
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