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「緑川組~MOVE~」

『スピリッツ』vol.32(裏面)

投稿日時:2010/12/23(木) 00:32

 地元パワーで勝利に貢献だ!選手権1回戦で福岡に遠征した関学ラグビー部。アウェーのはずのレベルファイブスタジアム。しかし、一部の選手にとってはホーム同然だった。東福岡高出身のSO渕本(社4)と小倉高出身のWTB松野尾(社4)は、この日の試合で得点につながるプレーを連発。選手権二回戦(対早大)に向けてBKの底力を見せつけた。


<『スピリッツ』vol.32(裏面)>

【渕本伸二郎】
 この試合に臨むまで、しばらくスタメンを離れる試合が続いた。前半をピッチの外から眺める自分に焦りを覚えることもあった。そんな中、迎えた選手権一回戦。舞台は地元の福岡。そしてスタメン表には数試合ぶりに渕本が名を連ねる。「今日(地元)に間に合って良かった」と渕本は話す。福大には高校時代の仲間も多い。SHの国弘やCTBの守田などがそうだ。昔の同志が今、倒すべき敵となって目の前に立ちはだかる。しかし、そういった相手にも物怖じすることなく渕本は自分のプレーにのみ徹した。

 その最たるものが前半21分のアシストパスだ。右中間22メートル付近ラックより芦田が渕本にボールを回し、最左翼の松野尾への「2人飛ばしパス」。その瞬間スタンドからは「おぉ~」という声援が沸き起こる。松野尾はそのまま左スミにトライを決め、試合を有利に進めることとなった。渕本も「あれは持ち味出せた」と試合後に語った。

 そして試合にも勝利し、チームは2回戦進出を果たす。しかし、勝利の瞬間をピッチで迎えた渕本には、まず反省の気持ちがあった。「自分のタックルミスでトライを取られたりして…気持ちの良い勝利ではなかった」。次戦の相手・早大は優勝候補筆頭。1秒も気の抜けない試合となることは必至だ。さらに「向こうのキャプテンは同期なんで、圧倒されないように」。全国に散らばったかつての仲間たちが、渕本のモチベーションとなり最高のプレーを演出するのだ。(山本大輔)

【松野尾允】
 レベルファイブスタジアムで行われた福大との一戦は、関学にとってアウェー。しかし小倉高出身の松野尾は地元での試合に「知り合いも多くていい感じで試合できた」と振り返る。その言葉通り、この日の松野尾はいつもとひと味違った。前半21分、22メートルライン内側で渕本からの飛ばしパスを受け取りそのままトライ。なかなか点を取りきれなかった前半に、チームに勢いをつける追加点をあげる。また、残り時間が10分を切り、少しでも相手を引き離したい後半33分。またも松野尾が見せた。敵陣でパスを回しながら攻め込み、最後はゴール前でボールをもらい、2本目。このトライで点差は24点に。関学の勝利を決める貴重な得点を奪った。

 そして、この勝利を受け「小さい頃から早稲田は強いって知ってた。やっと届いた。楽しんでやりたい」と先を見据える松野尾。早大戦、勝利を呼び込む松野尾の活躍に期待したい。(宮本直実)