「小原組~ALL OUT~」
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『朱紺スポーツ』vol.8
投稿日時:2009/06/09(火) 03:11
【芦田 関東大を振りまわした!】
関東遠征6日の関東大戦。SH芦田(人2)がその速く巧みなパスワークで相手を翻弄(ほんろう)する。また自らトライを取りにいく場面もあり、オフェンスで活躍。この男が奏でるテンポ良いリズムがチームに勢いをもたらす。
[巧みな球さばき]
持ち味である冷静さを発揮し、相手が関東大でも臆することなくプレーした。「(相手が)法政をダブルスコアで下していた。けど、思ったよりも強くなくて」。そうゲーム後に口にした。これまで対戦した慶應大やドコモといった強敵との比較もあったのだろう。その言葉があらわすように、強豪相手にもプレーはいつも以上に、きれていた。ボールを受けるとすぐさま味方へパス。右へ左へ、巧みなパスワークで敵をゆさぶる。自由自在にボールを運び、ハーフとしての役割をこなした。
一方で自ら攻める場面も。後半には相手ゴールライン手前でボールを受けた。パスにいくかと見せたが「穴が無くて。自分でいっちゃおう」。相手DFの横を果敢について、ゴールを割った。ボール運びの良いリズムに加わる、アクセントのトライ。芦田のプレーがチームに勢いをつける。
試合は自分たちのミスから敗北。それでも「内容は良かった」と手ごたえを見せる。自身のプレーも「前半は良かった。後半はしんどくなるにつれて…」と冷静に判断する。そのうえで「判断が悪い」と辛く口にし課題に挙げた。
[クール&ヒート]
1年生次からレギュラーとしてプレーしてきた芦田。正確なパス回しと積極的なアタックは学年が上がり、さらに磨かれている。それもチームを挙げてのオフの肉体改造の恩恵だ。「体が大きくなって、思いきったことが出来るようになった」という。この日のトライも、また体を張ったディフェンスも思い切りの良さが前面に出たもの。成長した肉体を実感している。
まさに「プレーは熱く、心は冷静に」。攻撃の核であり、同時に防御の指示出しに回るそのポジションに不可欠な要素を備えている。フィールドの中心で、存分にタクトを振るう男の姿がこれからも見られそうだ。
【『朱紺スポーツ』vol.8】

『朱紺スポーツ』vol.7
投稿日時:2009/06/01(月) 21:56
【ドコモに敗北 ここから強くなれ!】
この黒星も糧に。今回実現したNTTドコモ・レッドハリケーンズ(トップウェスト)戦。実力差は覚悟の上だったが、それでも健闘を見せた。浮き出た課題は明確、あとはそれを成長につなげるのみだ。
[課題浮きぼり]
相手はプロチーム。胸を借りる立場だが、星は別もの。強敵相手も勝利を目指す闘士たちの姿がそこにはあった。しかし試合開始とともに相手の猛攻に遭う。早いパス回しに翻弄(ほんろう)され、また1対1でも触れることさえ出来ずかわされる。関学もキックで応戦しゲインを図るが、相手の押し上げに抵抗もむなしく。自陣を陥れられる場面が続いた。
ようやく思い通りのプレーが出来るようになったのは後半から。敵陣に入ってからはゴールラインへまっしぐら。激しく前進する、今年の形をプロ相手にぶつける。そうしてFL西川(文4)がトライ。その後には、HO緑川(商3)が「前が空いてたから走るしかない」とDFをもろともせず独走。最後はすぐさま後ろにいたWTB片岡(総4)がボールを受けインゴールに飛び込んだ。
関学の得点シーンは後半の数分のみ。終盤には「良いテンポ」(小原)を作れた。しかし、それはエンジンのかかり始めの遅さを意味する。「始めから出来なければ」との声も上がった。今回はプロ相手だったが、リーグ戦、大学チーム相手ではそれが命取りとなる。
加えて「やりたいこともできず、ミスばっかり」と話すは緑川。試合を通じて課題ははっきりと浮き出た。それは戦術面しかり、意識面や個々の能力でも。ゲームキャプテンの片岡も「タックルやキックの精度を高めて、きっちりと」と今後の道しるべを見据えている。
[次につなげる]
黒星を糧にして、自分たちのラグビーを具現化できるように日々成長あるのみ。ゆくゆくは白星に変えてみせる。
【〝一人一殺〟のタックル心がけて】
目論んだゲームプランを遂行するためには「精度決まるとこを決めないと」と試合後に片岡は口にした。正確なワンプレーあってこそ、勝利は見えてくる。それが実現できていたのが昨シーズンのチームだった。CTB室屋のタックルや同・高橋のキックはどれも精度が高く、その度にゲームが思い通りに進んだ。「〝一人一殺〟のタックルの気持ちで」。室屋の強烈タックルの背後で悠々とプレーできていた片岡だからこそ、タックルの重要さを説く。プレーを磨き、精度を高めることが必要だ。
【『朱紺スポーツ』vol.7】

『朱紺スポーツ』vol.6
投稿日時:2009/05/20(水) 01:08
【副将・片岡 チームを牽引】
まさに闘〝将〟だ。先週の慶大戦で主将・小原がケガにより離脱した。その代役として、同大戦は副将・片岡がチームを牽引。4トライの活躍をあげ、Bチーム相手ながらも勝利に導いた。
[気迫のプレー]
左右に展開されるボール運びに相手は成すすべが無い。そうして最後、片岡にボールが渡ると、あとはゴールラインめがけて突っ切るだけだった。「おいしいトコどり。ステップで取ったのは1つぐらい。あとは仲間のプレーで取らせてもらった」。トライを奪うごとに敵の戦意を喪失させるほどの、闘争心を見せた。
この日は、ケガの小原に代わりゲームキャプテンに。「オレが声出して」と、いつもそこにある主将の姿に倣って声をあげた。そうして鼓舞されたチームは同大相手に怒とうの攻撃を展開。前半は完封で終わらせた。
同大が出してきたメンバーはBチーム。知らされたときは「残念だったけど…(相手がどこであれ)自分たちのラグビーをするだけ」。冷静に受けとめると同時に、闘志を燃やしていた。試合では自分たちの圧倒的な攻撃を前に、ディフェンスの機会はなかったが、一方で4トライ。「今回はわりと動けた」と自身のプレーに満足の様子だった。
[気合いの頭髪]
慶大戦で味わった敗北。そこにあったはふがいなさだと話す。「トライもタックルも、自分のプレーが出来ず。サポートしてくれる人への還元をすること」を改めて実感。トレードマークの長髪を一度切り離し、坊主頭で再スタートを切った。「(秋へむけ)髪とともに成長して」と意欲を見せる。主将を欠く「小原組」。だがこのニュー片岡が先頭に立つ限り、行き先を見失うことはない。
【『朱紺スポーツ』vol.6】

『朱紺スポーツ』vol.5
投稿日時:2009/05/13(水) 00:51
【慶応戦 詳報】
上半期注目のカードとなった慶応大学との交流記念試合。朱紺の闘士とタイガー軍団があいまみえるのは実に75年ぶり。新たなる1ページが歴史に刻まれた。
[実力差痛感]
関学ラグビーカーニバルのメインカードの時間が迫る。花園に巻き起こる大歓声のなか、少年少女を引き連れ選手たちが入場する。独特の雰囲気のなか、校歌『空の翼』が歌われ、選手たちの顔はより引き締まったものに。そして約半年ぶりに、聖地に『出陣の歌』が響き渡る。ここは関学が幾多の感動を生んできた場所。この日も対峙する強豪を倒すべく、闘士たちは駆け出し始めた。
以前に関東勢相手には「自分たちのリズムに持っていければ」とFWリーダー西川が話していたように、ペースを握ることがこの試合では重要。前に出るタックル、そしてキックから転じる陣地取りが必要不可欠だった。しかし蓋を開けてみると、それすらも許されない状況に。慶応大の展開するラグビーに圧倒される。「単純に全てが上。ひとりひとりがスゴイ」とWTB片岡。しとめにいくタックルもスピードとテクニックでかわされ、逆にオフェンスで突破を図ろうとも押さえ込まれる。
そんななか前半26分にFW陣を中心にタテに押し上げ、最後はFL山本真が密集を突破。「作戦通り」と話すそのワンプレーは関学の目指すそれそのものだった。「(このトライで)波に乗っていけたら」と話す山本だったが、終わってみればこの試合の唯一の得点シーンだった。
それからの後半は次第に走れなくなっていく朱紺のジャージを尻目に、タイガー軍団が悠々とゴールラインを割っていく。フィットネスの足りなさはチームの方針から「まだ目をつぶるところ」と主将・小原も話すが、それでも実力差を存分に見せつけられる。ノーサイドの笛が鳴り、「7-48」の数字が電光掲示板に映る。完敗に終わった。
試合後、取材陣に「結果が残せず残念」と吐露した小原。1年がかりで実現させた今回の交流戦で勝利を飾りたかった。だが関東のレベル、そしてチームの現状を知る収穫ある黒星だったことに違いない。肉体改造の成果か、コンタクト面で手ごたえを感じたのも事実だ。「秋への課題が見つかった」ことは試合を通じてしか得られないもの。これからの同志社大学との練習試合や関東遠征も控え、そうした機会はまだまだある。
[全国で雪辱]
アフターマッチファンクションで関係者各位が話したように、選手権の舞台で慶応大と再戦することを誰もが望んでいる。その時には進化した朱紺の闘士たちの姿を見せてやる。関西制覇、日本一、そしてリベンジへ向け成長の足を緩めるわけにはいかない。
【『朱紺スポーツ』vol.5】

『朱紺スポーツ』特別版~慶応戦~
投稿日時:2009/05/10(日) 01:39
【慶応戦へ いざ出陣】
小原組いざ出陣―。ついに今シーズン上半期の注目マッチ、慶應義塾大学との定期戦を迎えた。さぁ朱紺の闘士たちよ、熱きプレーを見せてくれ!
[全力プレー]
昨年51年ぶりの関西制覇に輝き、その名をラグビー界に轟かせた関学。年があけ主将には小原正(社4)が就き、新たなシーズンをむかえた。掲げたスローガンは『ALL-OUT』。「一日一日、全力を出し切る」という意味が込められたその言葉は、普段の練習からグラウンドに響き渡る。「ALL-OUTしよう=全力を出そう」と。「やないと、日本一にはなれない」と小原は語る。そのうえで関学ラグビー部の神髄であるチャレンジスピリットは今年も健在。いかなる相手でも挑戦者の姿勢で臨む。〝全力〟と〝挑戦〟の融合が小原組の魅力だ。
4月にシーズンが本格化してから、「実戦が一番の練習」と対外試合13連戦を決行。そのなかでも目をはるビックカードがついに実現した。それが、この慶大との定期戦である。全国制覇の経験も多数の名門校で、昨年の関東大学対抗戦では4位。ラグビーを知らない人でも、慶大ラグビー部の勇名は知っていよう。関西王者と関東の雄―実力校同士の「KG」が聖地・花園で激突するのだ。
[リスタート]
数十年ぶりの歴史的一戦に胸躍る人は少なくないはず。けれども小原組にとっては、記念試合という見方は出来ない。シーズン開幕戦で京大に圧勝を収めたものの、天理大、法大の実力校との対戦では思うような結果を残せず。始まったばかりとはいえ、己のラグビーに確信が持てず、闇をさまよっているのが現状だ。「もう一回修正して。(慶大に)これじゃ勝てない」と小原は吐露する。それでも、やるべきことは見えている。「今までやってきたタックルを中心に。自分たちのリズムに持っていければ」と語るは、FWリーダーの西川征克(文4)。昨年優勝に導いたディフェンスは折り紙つき。それが発揮できれば、たとえ慶大でも活路はある。
直前のゴールデンウィークには合宿を行い、部員たちの意識を統一。いま一度初心にかえり、リスタートを切る。2度目の開幕戦が、この定期戦になるといえよう。
道は険しく、困難であろうとも、小原組の目指す先はただひとつ。「日本一」。その橋がけとなる慶大との一戦をその目で見届けてほしい。
【上半期レポート】
小原組が初陣を飾った。オフシーズンを越えて、チームの成長が随所で見られた開幕戦。そこから今シーズンのキーワードを探ってみる。
開幕戦を待ち望んでいた。いや、実戦を望んでいたと言うべきか。「ゲームが一番の練習になる」。オフシーズンでチームは様々なことに挑戦した。その成果を確かめたいし、そこから出てくる課題さえも吸収したい。そして何よりもチーム内の競争を激しくすることでレベルアップを図りたい。上半期の意義はそこにある。
◆肉体改造◆
体重を増やす。オフシーズンに入り、休息を与えられた闘士たちに同時に課せられた課題。昨年、チームはTR辰見の指導も含め、肉体改造に踏み切る。それまではリーグ最軽量と言われたチームに求められたもの。〝ガタイ〟の良さなくして、戦力アップは望めなかったのだ。その体重増加の取り組みは今年も行なわれ、オフシーズン解禁の頃には選手の体は見違えるほどに変わっていた。
「手ごたえ十分」。全体練習が始まった時期、そう小原は話した。コンタクトは激しくなった。実戦ではその体格が自信につながる。その一方で、体についていけていない選手もいる。「これから走れる体を作っていく」。成長した身体を自在に操れるようになったとき、屈強な闘士は誕生する。
◆タテの動き◆
京大戦、明らかにこれまでとは違う動きが見られた。存分に感じられる、前に前に攻めようとする姿勢。それも左右のボール運びでなく、細かなパス回しをつないで直進する動きだ。例えばラックから転じる場面などでは、如実に表れた。「タテの動きとつなぐ意識」。試合後、小原の台詞の節々から出てきた単語だ。そのなかで「タテの動き」はこれまでの関学ラグビーに見られなかったもの。強力BK陣を備える関学は外に出せば、ある程度はゲインが望める。けれどもそれだけでは不十分。肉体改造の成果は、敵のDF陣をもろともしない突進力でこそ発揮されるのだ。
その新しい取り組みは、攻撃の幅を増やす。京大戦の後半で見られたオフェンスの爆発は、「タテの動き」から生まれた。前後左右に攻め込む形が完成すれば、止める術は敵には無くなる。
◆部内競争◆
大学随一の大所帯を誇るラグビー部。それだけ層は厚い。と同時に、レギュラー争いの激しさを物語る。試合で朱紺のジャージを着ることが出来るのは、リザーブも含め20数人。試合前日のメンバー発表では期待感と緊張感が混じる。名を呼ばれた選手には歓喜と安堵の表情が映る。
レギュラー争いは今度、よりいっそう激化する。体重も含めたコンディション、ラガーマンとしての戦力、そして普段からの姿勢。「頑張ってる部員は出したい」と主将も語る。紅白戦では、これまで見れなかった選手の潜在能力の高さに驚いたとか。部内争いがチーム全体の底上げにつながることは間違いない。
まだシーズンは始まったばかり。試合のみならず、練習や意識の面から〝チャレンジャー〟の姿勢が見て取れる。昨年の関西制覇も、いつまでも満足していては意味がないのだ。指揮官も「ウチはまだ守りに入るレベルじゃない」と釘を刺す。歴史を変えた闘士たちは、次なる歴史を築くためにこれからも挑み続ける。
【日本一への行動/地域清掃】
快晴広がる4月のある日。朝からグラウンドに集まるラグビー部員たち。練習かと思いきや、手には軍手。ビニール袋片手に声をあげる。「よしっ、始めるぞ―」。
「ラグビー部として日本一になるために出来ることがないかなと」。今年、小原組という新しいラグビー部を作り始める際に掲げられた「まわりに感謝する」という理念。オフシーズンから小原は社会貢献活動への意欲を見せていた。そうして実行に移されたのが、この日の『地域清掃』だった。部員たちはキャンパスを中心に上ヶ原を清掃し、いつもと違った晴れやかな表情を見せた。
「まわりの支えを選手たちに実感してもらいたい」と小原。感謝の気持ち無くして、日本一の部にはなりえないのだ。思えば2年前の年の暮れ。昨年の主将・室屋(社卒)が体育会リーダースキャンプで色紙に書いたのは『感謝』であった。その室屋組が関西制覇を遂げたのは言うまでもない。
【いざ歌はん】
「時こーそ 来たれーり」。朱紺の円陣がグラウンドの中心で作られる。そこから響く男たちの声。関学ラグビー部の部歌『出陣の歌』だ。
歌い始めの音頭は主将が執るのが伝統。初めて臨んだ京大戦では「かまんかなって(笑)。緊張してなかったから良かったけど」と小原は振り返る。試合直前に課せられた主将の責務である。
今日も聖地・花園で奏でられる『出陣の歌』。その音色は1年後、国立で響き渡るに違いない。
【『朱紺スポーツ』特別版】(上から1面(表)、2・3面(見開き)、4面(裏:3パターン))

※写真:関学スポーツ




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