「小原組~ALL OUT~」
『朱紺スポーツ』vol.5
投稿日時:2009/05/13(水) 00:51
【慶応戦 詳報】
上半期注目のカードとなった慶応大学との交流記念試合。朱紺の闘士とタイガー軍団があいまみえるのは実に75年ぶり。新たなる1ページが歴史に刻まれた。
[実力差痛感]
関学ラグビーカーニバルのメインカードの時間が迫る。花園に巻き起こる大歓声のなか、少年少女を引き連れ選手たちが入場する。独特の雰囲気のなか、校歌『空の翼』が歌われ、選手たちの顔はより引き締まったものに。そして約半年ぶりに、聖地に『出陣の歌』が響き渡る。ここは関学が幾多の感動を生んできた場所。この日も対峙する強豪を倒すべく、闘士たちは駆け出し始めた。
以前に関東勢相手には「自分たちのリズムに持っていければ」とFWリーダー西川が話していたように、ペースを握ることがこの試合では重要。前に出るタックル、そしてキックから転じる陣地取りが必要不可欠だった。しかし蓋を開けてみると、それすらも許されない状況に。慶応大の展開するラグビーに圧倒される。「単純に全てが上。ひとりひとりがスゴイ」とWTB片岡。しとめにいくタックルもスピードとテクニックでかわされ、逆にオフェンスで突破を図ろうとも押さえ込まれる。
そんななか前半26分にFW陣を中心にタテに押し上げ、最後はFL山本真が密集を突破。「作戦通り」と話すそのワンプレーは関学の目指すそれそのものだった。「(このトライで)波に乗っていけたら」と話す山本だったが、終わってみればこの試合の唯一の得点シーンだった。
それからの後半は次第に走れなくなっていく朱紺のジャージを尻目に、タイガー軍団が悠々とゴールラインを割っていく。フィットネスの足りなさはチームの方針から「まだ目をつぶるところ」と主将・小原も話すが、それでも実力差を存分に見せつけられる。ノーサイドの笛が鳴り、「7-48」の数字が電光掲示板に映る。完敗に終わった。
試合後、取材陣に「結果が残せず残念」と吐露した小原。1年がかりで実現させた今回の交流戦で勝利を飾りたかった。だが関東のレベル、そしてチームの現状を知る収穫ある黒星だったことに違いない。肉体改造の成果か、コンタクト面で手ごたえを感じたのも事実だ。「秋への課題が見つかった」ことは試合を通じてしか得られないもの。これからの同志社大学との練習試合や関東遠征も控え、そうした機会はまだまだある。
[全国で雪辱]
アフターマッチファンクションで関係者各位が話したように、選手権の舞台で慶応大と再戦することを誰もが望んでいる。その時には進化した朱紺の闘士たちの姿を見せてやる。関西制覇、日本一、そしてリベンジへ向け成長の足を緩めるわけにはいかない。
【『朱紺スポーツ』vol.5】