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「緑川組~MOVE~」 2010/5

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『スピリッツ』vol.6

投稿日時:2010/05/17(月) 01:08

 これが現実だ。トップリーガー相手に完封負けを喫した。それは険しい道のりのなかで、緑川組がぶちあたった1つの巨岩だった。




【すべてを糧に】


 関西ラグビー祭のメインカードとして組まれ、実現したトップリーガーとの対戦。胸を借りる意気で、同時に「関東レベル、それ以上の相手」と想定して試合に臨んだ。出場したメンバーは現状でベストな布陣。緑川組がどこまでやれるのか注目は集まった。


 試合は終始、近鉄ペース。それでも序盤は課題としていたディフェンス面で手ごたえを掴む。振り回される場面もあったが、そのぶんムーヴして対処した。ゴールを割られても、できることをしたすえの結果として受け止めた。だが次第に差し込まれ、一方でディフェンスに枚数をかけすぎるなど判断ミスも起こり大量失点を喫した。


 やはり浮き彫りになったのはブレイクダウンでの激しさ。それは関東勢との最大の差でもある。攻守でボールを奪取する強さがまだ足りない。大量失点の反面でノートライで終わった原因もそこだ。無得点に「情けない。攻め切れなかった」と主将・緑川(商4)は口にした。


 春先の時期に花園の舞台で、加えてレベルの高い相手と一戦を交えた意味は大きい。「失敗やなくて経験に換えていきたい」。試合後に主将はそう言い、また前を向いて歩き出した。

(記事/写真=朱紺番 坂口功将)


 

CTB吉原、チャレンジャー精神見せる


▲タックルにいく♯12吉原


 そのプレーに歓声が上がった。トップリーガー相手にCTB吉原太朗(人2)がタックルをぶちかました。


 「相手はトップリーガーで、自分たちは負けても失うものはない。やりやすかったですね」。気負いすることなく、ピッチに立った。そうして対峙した相手に真っ向からタックルを決めていった。そのたびにスタンドは湧き上がったが、試合後「入るのは入ってたけど、入れてない数の方が多くて。修正する点は多い」と厳しく口にした。


 吉原のタックルは〝思いっきり〟あふれるプレーそのもの。それは練習成果のたまものであり、彼自身の姿勢でもある。この日コンタクト面では「そこまで劣っているとは思わなかった。春から関学もコンタクトをやってきて、いい練習が出来てる」と自信を持った。と同時に層が厚い関学CTB陣のなかでは「常に何か劣っていると思いながら。そこを補うために、謙虚な気持ちを忘れずに」取り組んでいる。決しておごることのないチャレンジャー精神が〝思いっきり〟を生み出すのだ。


 「何が何でもAに残る気持ちで。そして出るだけでなく、勝利に貢献できるように。練習を積み重ねていきたい」。ここにまた1人、これからが楽しみな若きタックラーが登場した。


■吉原太朗(よしはら たろう)/人間福祉学部2回生/桐蔭学園高校/CTB/176㌢、90㌔


『スピリッツ短信』5/15

投稿日時:2010/05/15(土) 18:30

『スピリッツ短信』5月15日

●U-20日本代表に春山が選出!

 「U-20に選ばれてから変わりましたね。いろんな意味で注目されるようになって、自覚が」。カーニバルで子どもたちからサインをせがまれ、より実感したことだろう。CTB春山悠太(文2)がU-20日本代表に選出された。




 5月中旬からロシアで行なわれる『IRB ジュニアワールドラグビートロフィー2010』。きたる世界大会へ向け3月末から選考は始まった。厳しいふるいにかけられるなかで、春山は最後まで残り、日本代表の切符を掴み取ったのだ。「(合宿では)自分のプレーをしよう、と。たまたま結果が出て。実感は無かった」。持ち味であるタックルとまわりを動かすプレー。それら自らの武器を発揮することだけを考えて臨んだ。そしてそれが評価されたのである。


 昨シーズンは1回生ながらAチーム入りを果たしリーグ戦にも出場を果たした。2年目は上半期のほとんどを代表合宿で過ごし、チームにはその合間にしか合流できていない。「温度差あるんかな、って。だから帰ってきたときにみんなが頑張っている以上に頑張りたい」と意気込む。大舞台を経験し帰ってきたあかつきには、彼のプレーが緑川組にとって大きな武器になるはずだ。


 「自分のスタイルを貫いて、外国人相手にも勝負していきたい」。低く前に出るタックルをぶちかます、パスワークの基点となって味方を動かす。春山悠太という桜が、東欧の地で華麗に花咲く。■


長野、後輩へエール】

 関学からは2年連続となるユース日本代表への選出。昨年、日本で行なわれたジュニアW杯にはWTB長野直樹(社4)が選ばれたことは記憶に新しい。「成長できる、素晴らしい機会。バイスに選ばれることも、ほんまに得るもんは大きい」と国際舞台に旅立った後輩にエールを送った。自身も大舞台での貴重な経験を経て、チームに合流してからはそれらを活かした。「自分のプレーをチームに還元してほしい」。朱紺のジャージを着た日本代表経験者らに期待はつのるばかりだ。



Kwangaku Sports

■春山悠太(はるやま ゆうた)/文学部2回生/天理高校/CTB/178㌢。85㌔

『山本有輝のROOKIESな日々』vol.4

投稿日時:2010/05/10(月) 20:38

最後の試練、監督がルーキーズの前に立ちはだかった!


【第4回】

 

 「今日は1回生たちの悪いとこが出た」


 失望感をふくみながら山本は試合の感想を述べた。5月5日の関学カーニバルで行なわれたメインカード『1回生vs2回生マッチ』。結果は、ルーキーズの完敗だった。


 闘志はみなぎっていた。試合開始直前の整列では1000人超の観客が見守るなかでニュージーランド代表オールブラックスの儀式『HAKA(ハカ)』を演舞。その瞬間ルーキーズの目の色が、どこか変わったように見えた。しかし、それもすぐにくすぶった。



▲カーニバル限定。若き朱紺の闘士たちによるハカ


 先制トライを2回生チームに奪われたことでムードは消沈。「あれだけで、顔色違うかった」。覇気を喪失したのは明らかだった。


 それでも前半はWTB原田(人1)の快走2トライもあり得点だけ見れば5分5分。前半を見届けた総監督は「切り替えるとこはナンボでもあったのに」と嘆いた。


 「まだ、心の弱さが。もっと、うわぁー!って言えばよかったのに」


 一度ゲームに身を投じれば、自分たちだけで戦わねばならない。それは気持ちの面でも同じだ。たとえ失点されようとも、転じて反撃ムードを作り出すことは自分たちでやるしかない。その認識がいまだルーキーズには欠けていた。己を鼓舞するのは己、なのだ。


 そして後半、それまで見守ってきた総監督は自ら戦闘服に身をつつみピッチに姿を現す。それも1回生チームではなく、敵である2回生チームとして。昨年の選手権以来、『インパクトプレーヤー』山本有輝が再臨した。



▲出番早々からハッスルプレー


 後半開始のキックオフから猛然とダッシュし、キャッチした相手を掴みにかかる。現役時代と変わらぬ姿。やがてチームの後半1発目のトライをも決め、健在ぶりをアピールした。


 「元気あるうちに。あれ以降、走ってなかったけど。面目は保てたわ(笑)」


 スタミナ面での不安は的中したが久々のプレーを楽しんだようだ。


 一方でルーキーズHCの片岡将も2回生チームで出場した。こちらはライン際を颯爽(さっそう)と駆け上がるなど2トライ。


 「スキルとかWTBのこととか教えられることはあるし。最後は敵になって、体で教えられたら」


 2回生らを差し置いて、2人の活躍が目立っていた。


 学生ラグビー自体は引退しても、彼らはやはりラガーマンであったのだ。(続く、次回いよいよ最終回)



▲久々のユニフォーム姿にどこか恥ずかしそうな表情を浮かべる山本


【ルーキーズ特別版 『スピリッツR』】



 

 KYだ!いやいや『空気が読めない』ではありません。かつての小原組のプレーヤー2人、K=片岡、Y=山本が久々のゲームで大暴れしたのだ!


 カーニバルのメインカード『1回生vs2回生』マッチ。これまでルーキーズを指揮してきた総監督とヘッドコーチが、2回生チームのメンバーとして出場した。2人とも昨年の選手権以来、実に129日ぶりとなるプレーだ。


 「元気にあるうちに」。出場して早々、山本がトライを決める。インパクトあふれるプレーで1回生にとどめをさした。


 次第にスタミナ不足を露呈していく総監督に続いたのはヘッドコーチの片岡だ。こちらは引退してからも競技は続けており、昨年以上にパワーアップした姿を披露。ステップと豪脚を武器にライン際すれすれを爆走し2トライを飾った。


 「やっぱ楽しい!むっちゃしんどかったけど」と山本が言えば、片岡も「久しぶり。幸せやった」と上機嫌に話した。現役のことを考えれば今後、再び実現する可能性は少ない。それだけに、小原組の闘士たちが輝きを放ったカーニバルだった。■

『スピリッツ短信』5/8

投稿日時:2010/05/08(土) 23:50

『スピリッツ短信』5月8日

●関学ファミリー集う。カーニバル開催!

 ゴールデンウィークの最後を飾った『関学ラグビーカーニバル』。これは年に1回の祭典。関学第2フィールドには部員、保護者、関係者総勢1200人ほどが集結した。そこでは、スクールに通うちびっ子から部活に励む中高大学生までがラグビーに興じる。そのなかで大学生たちは赤のイベントTシャツを身につけ大会運営に奔走していた。



▲テント下にて(撮影=長野直樹)


 「いつも良いなと思います」。そう語ったのは藤原陸(総4)。高等部ではキャプテンを務めていた。加えて三田ラグビースクールに在籍していた頃からこの祭りに参加していた過去もある。

 

 「中学生も小学生もみんな後輩で。久しぶりにコーチに会ったり。後輩のプレー見てるだけで楽しいっス」


 カーニバルの常連は自分なりの楽しみ方を味わっているようだった。

 

 『関学』の名を冠した祭りは、その魅力を最も体感できる機会でもある。それは、ずばり〝縦のつながり〟。大学ラグビー部からは学生コーチを高等部に送りこむ。数ヶ月に1回、初等部に足を運びスポーツ教室を開催する。そうして年に1回のカーニバルでは家族のように一堂に会し交流を深める。


 「高校生は中学生にディフェンスを教えて。高校のときも大学の人が練習の時間を割いてくれたり。自分はBKのことを教えてもらったりした。

 縦のつながりがあって高校も強くなって、大学も強くなって。そこが良いところ」


 藤原は思い出にふけながら、朱紺の魅力を得意げに話した。



▲カーニバルの最後、全体集合写真。中央、藤原


 太陽も真上にあがりカーニバルは最高潮。ちびっ子たちは雲の上の存在である大学生たちにサインをもとめ群がる。それも一体感が成せるわざか。世代を超えた交流がそこにある。

 

 「楽しいっスね。子どもとか楽しそうやし」


 生まれて初めてのサイン対応にあくせくした小樋山樹(人3)が一息ついて口にした。

 

 将来の朱紺の闘士たちに夢を与えた、カーニバル。それは5月5日、『子どもの日』の催し物だった。 



▲片岡(右)に連れられ、子供たちは主将からサインをもらう


『スピリッツ』vol.5

投稿日時:2010/05/05(水) 23:25

 人気者でいこう!関学ファミリーが集った『関学ラグビーカーニバル』。ちびっ子ラガーマンからの思わぬ攻撃に、いつもは闘志奮わせる大学生たちもたじたじだった。




【人気者は大変】

 

 子どもたちの一番人気はスーパースター・長野。まわりを取り囲み、ユニフォームにサインをせがむ。「全然考えてないっス」と言いながらも、流暢(りゅうちょう)にペンを走らせた。その輪に原田もちゃっかり姿を現し…。お次の目当てはキャプテン緑川。「長野に似てる人!」と狙いを定め、主将のもとへ。こちらも高校時代からの慣れた手つきでサインに応じた。


 2大スターのサインをゲットしても子どもたちの闘志(?)は潰えない。『日本代表』との看板があればダッシュ。「待ってました」と言わんばかりに芦田は応じる。先日U-20日本代表入りを果たした春山は、顔を覚えられてなかったか、「ほんとに?」と疑問視されながらもサインを懇願された。きわめつけは小樋山だ。「書いたことなくて」と初めて記したサインはシンプルな『樹』の一文字。「焦りました」と苦笑いを浮かべた。


 思わぬ攻撃を受けた朱紺の闘士たち。彼らの困惑もお構いなしにちびっ子ラガーマンたちは笑顔をはじけさせていた。


(記事/写真=朱紺番 坂口功将)

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