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「緑川組~MOVE~」

『山本有輝のROOKIESな日々』vol.4

投稿日時:2010/05/10(月) 20:38

最後の試練、監督がルーキーズの前に立ちはだかった!


【第4回】

 

 「今日は1回生たちの悪いとこが出た」


 失望感をふくみながら山本は試合の感想を述べた。5月5日の関学カーニバルで行なわれたメインカード『1回生vs2回生マッチ』。結果は、ルーキーズの完敗だった。


 闘志はみなぎっていた。試合開始直前の整列では1000人超の観客が見守るなかでニュージーランド代表オールブラックスの儀式『HAKA(ハカ)』を演舞。その瞬間ルーキーズの目の色が、どこか変わったように見えた。しかし、それもすぐにくすぶった。



▲カーニバル限定。若き朱紺の闘士たちによるハカ


 先制トライを2回生チームに奪われたことでムードは消沈。「あれだけで、顔色違うかった」。覇気を喪失したのは明らかだった。


 それでも前半はWTB原田(人1)の快走2トライもあり得点だけ見れば5分5分。前半を見届けた総監督は「切り替えるとこはナンボでもあったのに」と嘆いた。


 「まだ、心の弱さが。もっと、うわぁー!って言えばよかったのに」


 一度ゲームに身を投じれば、自分たちだけで戦わねばならない。それは気持ちの面でも同じだ。たとえ失点されようとも、転じて反撃ムードを作り出すことは自分たちでやるしかない。その認識がいまだルーキーズには欠けていた。己を鼓舞するのは己、なのだ。


 そして後半、それまで見守ってきた総監督は自ら戦闘服に身をつつみピッチに姿を現す。それも1回生チームではなく、敵である2回生チームとして。昨年の選手権以来、『インパクトプレーヤー』山本有輝が再臨した。



▲出番早々からハッスルプレー


 後半開始のキックオフから猛然とダッシュし、キャッチした相手を掴みにかかる。現役時代と変わらぬ姿。やがてチームの後半1発目のトライをも決め、健在ぶりをアピールした。


 「元気あるうちに。あれ以降、走ってなかったけど。面目は保てたわ(笑)」


 スタミナ面での不安は的中したが久々のプレーを楽しんだようだ。


 一方でルーキーズHCの片岡将も2回生チームで出場した。こちらはライン際を颯爽(さっそう)と駆け上がるなど2トライ。


 「スキルとかWTBのこととか教えられることはあるし。最後は敵になって、体で教えられたら」


 2回生らを差し置いて、2人の活躍が目立っていた。


 学生ラグビー自体は引退しても、彼らはやはりラガーマンであったのだ。(続く、次回いよいよ最終回)



▲久々のユニフォーム姿にどこか恥ずかしそうな表情を浮かべる山本


【ルーキーズ特別版 『スピリッツR』】



 

 KYだ!いやいや『空気が読めない』ではありません。かつての小原組のプレーヤー2人、K=片岡、Y=山本が久々のゲームで大暴れしたのだ!


 カーニバルのメインカード『1回生vs2回生』マッチ。これまでルーキーズを指揮してきた総監督とヘッドコーチが、2回生チームのメンバーとして出場した。2人とも昨年の選手権以来、実に129日ぶりとなるプレーだ。


 「元気にあるうちに」。出場して早々、山本がトライを決める。インパクトあふれるプレーで1回生にとどめをさした。


 次第にスタミナ不足を露呈していく総監督に続いたのはヘッドコーチの片岡だ。こちらは引退してからも競技は続けており、昨年以上にパワーアップした姿を披露。ステップと豪脚を武器にライン際すれすれを爆走し2トライを飾った。


 「やっぱ楽しい!むっちゃしんどかったけど」と山本が言えば、片岡も「久しぶり。幸せやった」と上機嫌に話した。現役のことを考えれば今後、再び実現する可能性は少ない。それだけに、小原組の闘士たちが輝きを放ったカーニバルだった。■