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「小原組~ALL OUT~」 2009/5

『朱紺スポーツ』vol.6

投稿日時:2009/05/20(水) 01:08

【副将・片岡 チームを牽引】

 まさに闘〝将〟だ。先週の慶大戦で主将・小原がケガにより離脱した。その代役として、同大戦は副将・片岡がチームを牽引。4トライの活躍をあげ、Bチーム相手ながらも勝利に導いた。


[気迫のプレー]

 左右に展開されるボール運びに相手は成すすべが無い。そうして最後、片岡にボールが渡ると、あとはゴールラインめがけて突っ切るだけだった。「おいしいトコどり。ステップで取ったのは1つぐらい。あとは仲間のプレーで取らせてもらった」。トライを奪うごとに敵の戦意を喪失させるほどの、闘争心を見せた。


 この日は、ケガの小原に代わりゲームキャプテンに。「オレが声出して」と、いつもそこにある主将の姿に倣って声をあげた。そうして鼓舞されたチームは同大相手に怒とうの攻撃を展開。前半は完封で終わらせた。


 同大が出してきたメンバーはBチーム。知らされたときは「残念だったけど(相手がどこであれ)自分たちのラグビーをするだけ」。冷静に受けとめると同時に、闘志を燃やしていた。試合では自分たちの圧倒的な攻撃を前に、ディフェンスの機会はなかったが、一方で4トライ。「今回はわりと動けた」と自身のプレーに満足の様子だった。


[気合いの頭髪]

 慶大戦で味わった敗北。そこにあったはふがいなさだと話す。「トライもタックルも、自分のプレーが出来ず。サポートしてくれる人への還元をすること」を改めて実感。トレードマークの長髪を一度切り離し、坊主頭で再スタートを切った。「(秋へむけ)髪とともに成長して」と意欲を見せる。主将を欠く「小原組」。だがこのニュー片岡が先頭に立つ限り、行き先を見失うことはない。


【『朱紺スポーツ』vol.6】


『朱紺スポーツ』vol.5

投稿日時:2009/05/13(水) 00:51

【慶応戦 詳報】

 上半期注目のカードとなった慶応大学との交流記念試合。朱紺の闘士とタイガー軍団があいまみえるのは実に75年ぶり。新たなる1ページが歴史に刻まれた。

 

[実力差痛感]

 関学ラグビーカーニバルのメインカードの時間が迫る。花園に巻き起こる大歓声のなか、少年少女を引き連れ選手たちが入場する。独特の雰囲気のなか、校歌『空の翼』が歌われ、選手たちの顔はより引き締まったものに。そして約半年ぶりに、聖地に『出陣の歌』が響き渡る。ここは関学が幾多の感動を生んできた場所。この日も対峙する強豪を倒すべく、闘士たちは駆け出し始めた。

 以前に関東勢相手には「自分たちのリズムに持っていければ」とFWリーダー西川が話していたように、ペースを握ることがこの試合では重要。前に出るタックル、そしてキックから転じる陣地取りが必要不可欠だった。しかし蓋を開けてみると、それすらも許されない状況に。慶応大の展開するラグビーに圧倒される。「単純に全てが上。ひとりひとりがスゴイ」とWTB片岡。しとめにいくタックルもスピードとテクニックでかわされ、逆にオフェンスで突破を図ろうとも押さえ込まれる。

 そんななか前半26分にFW陣を中心にタテに押し上げ、最後はFL山本真が密集を突破。「作戦通り」と話すそのワンプレーは関学の目指すそれそのものだった。「(このトライで)波に乗っていけたら」と話す山本だったが、終わってみればこの試合の唯一の得点シーンだった。

 それからの後半は次第に走れなくなっていく朱紺のジャージを尻目に、タイガー軍団が悠々とゴールラインを割っていく。フィットネスの足りなさはチームの方針から「まだ目をつぶるところ」と主将・小原も話すが、それでも実力差を存分に見せつけられる。ノーサイドの笛が鳴り、「7-48」の数字が電光掲示板に映る。完敗に終わった。

 試合後、取材陣に「結果が残せず残念」と吐露した小原。1年がかりで実現させた今回の交流戦で勝利を飾りたかった。だが関東のレベル、そしてチームの現状を知る収穫ある黒星だったことに違いない。肉体改造の成果か、コンタクト面で手ごたえを感じたのも事実だ。「秋への課題が見つかった」ことは試合を通じてしか得られないもの。これからの同志社大学との練習試合や関東遠征も控え、そうした機会はまだまだある。

[全国で雪辱]

  アフターマッチファンクションで関係者各位が話したように、選手権の舞台で慶応大と再戦することを誰もが望んでいる。その時には進化した朱紺の闘士たちの姿を見せてやる。関西制覇、日本一、そしてリベンジへ向け成長の足を緩めるわけにはいかない。


【『朱紺スポーツ』vol.5】


『朱紺スポーツ』特別版~慶応戦~

投稿日時:2009/05/10(日) 01:39

【慶応戦へ いざ出陣】

 小原組いざ出陣。ついに今シーズン上半期の注目マッチ、慶應義塾大学との定期戦を迎えた。さぁ朱紺の闘士たちよ、熱きプレーを見せてくれ!


[全力プレー]

 昨年51年ぶりの関西制覇に輝き、その名をラグビー界に轟かせた関学。年があけ主将には小原正(社4)が就き、新たなシーズンをむかえた。掲げたスローガンは『ALLOUT』。「一日一日、全力を出し切る」という意味が込められたその言葉は、普段の練習からグラウンドに響き渡る。「ALLOUTしよう=全力を出そう」と。「やないと、日本一にはなれない」と小原は語る。そのうえで関学ラグビー部の神髄であるチャレンジスピリットは今年も健在。いかなる相手でも挑戦者の姿勢で臨む。〝全力〟と〝挑戦〟の融合が小原組の魅力だ。


 4月にシーズンが本格化してから、「実戦が一番の練習」と対外試合13連戦を決行。そのなかでも目をはるビックカードがついに実現した。それが、この慶大との定期戦である。全国制覇の経験も多数の名門校で、昨年の関東大学対抗戦では4位。ラグビーを知らない人でも、慶大ラグビー部の勇名は知っていよう。関西王者と関東の雄実力校同士の「KG」が聖地・花園で激突するのだ。


[リスタート]

 数十年ぶりの歴史的一戦に胸躍る人は少なくないはず。けれども小原組にとっては、記念試合という見方は出来ない。シーズン開幕戦で京大に圧勝を収めたものの、天理大、法大の実力校との対戦では思うような結果を残せず。始まったばかりとはいえ、己のラグビーに確信が持てず、闇をさまよっているのが現状だ。「もう一回修正して。(慶大に)これじゃ勝てない」と小原は吐露する。それでも、やるべきことは見えている。「今までやってきたタックルを中心に。自分たちのリズムに持っていければ」と語るは、FWリーダーの西川征克(文4)。昨年優勝に導いたディフェンスは折り紙つき。それが発揮できれば、たとえ慶大でも活路はある。


 直前のゴールデンウィークには合宿を行い、部員たちの意識を統一。いま一度初心にかえり、リスタートを切る。2度目の開幕戦が、この定期戦になるといえよう。


 道は険しく、困難であろうとも、小原組の目指す先はただひとつ。「日本一」。その橋がけとなる慶大との一戦をその目で見届けてほしい。


【上半期レポート】

 小原組が初陣を飾った。オフシーズンを越えて、チームの成長が随所で見られた開幕戦。そこから今シーズンのキーワードを探ってみる。


 開幕戦を待ち望んでいた。いや、実戦を望んでいたと言うべきか。「ゲームが一番の練習になる」。オフシーズンでチームは様々なことに挑戦した。その成果を確かめたいし、そこから出てくる課題さえも吸収したい。そして何よりもチーム内の競争を激しくすることでレベルアップを図りたい。上半期の意義はそこにある。


◆肉体改造◆

 体重を増やす。オフシーズンに入り、休息を与えられた闘士たちに同時に課せられた課題。昨年、チームはTR辰見の指導も含め、肉体改造に踏み切る。それまではリーグ最軽量と言われたチームに求められたもの。〝ガタイ〟の良さなくして、戦力アップは望めなかったのだ。その体重増加の取り組みは今年も行なわれ、オフシーズン解禁の頃には選手の体は見違えるほどに変わっていた。

 「手ごたえ十分」。全体練習が始まった時期、そう小原は話した。コンタクトは激しくなった。実戦ではその体格が自信につながる。その一方で、体についていけていない選手もいる。「これから走れる体を作っていく」。成長した身体を自在に操れるようになったとき、屈強な闘士は誕生する。


◆タテの動き◆

 京大戦、明らかにこれまでとは違う動きが見られた。存分に感じられる、前に前に攻めようとする姿勢。それも左右のボール運びでなく、細かなパス回しをつないで直進する動きだ。例えばラックから転じる場面などでは、如実に表れた。「タテの動きとつなぐ意識」。試合後、小原の台詞の節々から出てきた単語だ。そのなかで「タテの動き」はこれまでの関学ラグビーに見られなかったもの。強力BK陣を備える関学は外に出せば、ある程度はゲインが望める。けれどもそれだけでは不十分。肉体改造の成果は、敵のDF陣をもろともしない突進力でこそ発揮されるのだ。

 その新しい取り組みは、攻撃の幅を増やす。京大戦の後半で見られたオフェンスの爆発は、「タテの動き」から生まれた。前後左右に攻め込む形が完成すれば、止める術は敵には無くなる。


◆部内競争◆

 大学随一の大所帯を誇るラグビー部。それだけ層は厚い。と同時に、レギュラー争いの激しさを物語る。試合で朱紺のジャージを着ることが出来るのは、リザーブも含め20数人。試合前日のメンバー発表では期待感と緊張感が混じる。名を呼ばれた選手には歓喜と安堵の表情が映る。

 レギュラー争いは今度、よりいっそう激化する。体重も含めたコンディション、ラガーマンとしての戦力、そして普段からの姿勢。「頑張ってる部員は出したい」と主将も語る。紅白戦では、これまで見れなかった選手の潜在能力の高さに驚いたとか。部内争いがチーム全体の底上げにつながることは間違いない。


 まだシーズンは始まったばかり。試合のみならず、練習や意識の面から〝チャレンジャー〟の姿勢が見て取れる。昨年の関西制覇も、いつまでも満足していては意味がないのだ。指揮官も「ウチはまだ守りに入るレベルじゃない」と釘を刺す。歴史を変えた闘士たちは、次なる歴史を築くためにこれからも挑み続ける。


【日本一への行動/地域清掃】

 快晴広がる4月のある日。朝からグラウンドに集まるラグビー部員たち。練習かと思いきや、手には軍手。ビニール袋片手に声をあげる。「よしっ、始めるぞ」。

 「ラグビー部として日本一になるために出来ることがないかなと」。今年、小原組という新しいラグビー部を作り始める際に掲げられた「まわりに感謝する」という理念。オフシーズンから小原は社会貢献活動への意欲を見せていた。そうして実行に移されたのが、この日の『地域清掃』だった。部員たちはキャンパスを中心に上ヶ原を清掃し、いつもと違った晴れやかな表情を見せた。

 「まわりの支えを選手たちに実感してもらいたい」と小原。感謝の気持ち無くして、日本一の部にはなりえないのだ。思えば2年前の年の暮れ。昨年の主将・室屋(社卒)が体育会リーダースキャンプで色紙に書いたのは『感謝』であった。その室屋組が関西制覇を遂げたのは言うまでもない。


【いざ歌はん】

 「時こーそ 来たれーり」。朱紺の円陣がグラウンドの中心で作られる。そこから響く男たちの声。関学ラグビー部の部歌『出陣の歌』だ。
 歌い始めの音頭は主将が執るのが伝統。初めて臨んだ京大戦では「かまんかなって(笑)。緊張してなかったから良かったけど」と小原は振り返る。試合直前に課せられた主将の責務である。

 今日も聖地・花園で奏でられる『出陣の歌』。その音色は1年後、国立で響き渡るに違いない。


【『朱紺スポーツ』特別版】(上から1面(表)、2・3面(見開き)、4面(裏:3パターン))


※写真:関学スポーツ




『朱紺スポーツ』vol.4

投稿日時:2009/05/05(火) 00:23

【法政大に完敗】

 小原組がリスタートを余儀なくされた。今シーズン初の関東勢、法大との対戦となったこの日。Aチームは粘り強く健闘するも最終的には実力差を見せつけられる。国立への道はまだ遠いようだ。


[リベンジマッチ]

 昨年暮れの選手権2回戦。瑞穂で味わった屈辱から半年、またしても法大に苦杯をなめさせられた。

 序盤から敵の猛攻を耐えしのぐ場面が続く。風下ながらも、そこではディフェンス力を発揮する。前半を通じて3トライを奪われるも「ねばれた方」と主将・小原(社4)。前回の対戦からの成長は感じられた。そして前半終了間際にはFL近藤(商3)がトライを決め、追い上げムードを作った。


 そして後半開始早々、早いパス回しで外へ展開し、最後はWTB松野尾(社3)が悠々とインゴールへ。1トライ差につめ寄り反撃ムードが漂いはじめる。だが、そのあまりにも「キレイ過ぎた」得点の形がチームに逆効果をもたらしてしまった。目論んでいたキック主体のゲームプランは崩壊し、ボールを振っていくラグビーへ。こうなると敵とのフィットネスの差が浮き出た。中盤以降からは体力不足から走り負け。相手オフェンスを止めることもままならず、次々と得点を許してしまった。


 相手は強敵・法大。関学の真骨頂であるチャレンジャー精神は不可欠だった。それが試合が進むにつれ薄れていた。と同時に「気持ちの部分の差かな。チームの代表としての自覚が足りない」と主将は戦う姿勢に苦言を呈する。それでも攻守ともに要所で良かった点も見られたことは幸いだ。


[道のりは厳しく]

 法大もふくめ関東勢とはいずれ戦うことになる。だがそれも「このままじゃ」(小原)。いま一度立て直しを図り、国立への道を歩むしかない。


【『朱紺スポーツ』vol.4】


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