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「小原組~ALL OUT~」

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『朱紺スポーツ』vol.4

投稿日時:2009/05/05(火) 00:23

【法政大に完敗】

 小原組がリスタートを余儀なくされた。今シーズン初の関東勢、法大との対戦となったこの日。Aチームは粘り強く健闘するも最終的には実力差を見せつけられる。国立への道はまだ遠いようだ。


[リベンジマッチ]

 昨年暮れの選手権2回戦。瑞穂で味わった屈辱から半年、またしても法大に苦杯をなめさせられた。

 序盤から敵の猛攻を耐えしのぐ場面が続く。風下ながらも、そこではディフェンス力を発揮する。前半を通じて3トライを奪われるも「ねばれた方」と主将・小原(社4)。前回の対戦からの成長は感じられた。そして前半終了間際にはFL近藤(商3)がトライを決め、追い上げムードを作った。


 そして後半開始早々、早いパス回しで外へ展開し、最後はWTB松野尾(社3)が悠々とインゴールへ。1トライ差につめ寄り反撃ムードが漂いはじめる。だが、そのあまりにも「キレイ過ぎた」得点の形がチームに逆効果をもたらしてしまった。目論んでいたキック主体のゲームプランは崩壊し、ボールを振っていくラグビーへ。こうなると敵とのフィットネスの差が浮き出た。中盤以降からは体力不足から走り負け。相手オフェンスを止めることもままならず、次々と得点を許してしまった。


 相手は強敵・法大。関学の真骨頂であるチャレンジャー精神は不可欠だった。それが試合が進むにつれ薄れていた。と同時に「気持ちの部分の差かな。チームの代表としての自覚が足りない」と主将は戦う姿勢に苦言を呈する。それでも攻守ともに要所で良かった点も見られたことは幸いだ。


[道のりは厳しく]

 法大もふくめ関東勢とはいずれ戦うことになる。だがそれも「このままじゃ」(小原)。いま一度立て直しを図り、国立への道を歩むしかない。


【『朱紺スポーツ』vol.4】


『朱紺スポーツ』vol.3

投稿日時:2009/04/29(水) 00:10

【西川 存在感アピール】

 トライゲッター健在!天理大戦Aチーム前半に出場したナンバー8西川征克(文4)が2トライを決める。チームを前半リードに導く活躍ぶりで、その存在感を光らせた。


[攻撃的姿勢]

 ハーフごとにメンバーが入れ替わる変則マッチとなったこの日の天理大戦。Aチーム同士の対決となった前半、序盤からトライを重ねるもディフェンスのほころびから同点の状況に。そんななかこの男が闘志を見せた。関学が誇るトライゲッター西川だ。相手DFをもろともせず34分にトライ。そのあとにもスクラムからひとり抜け出してゴールラインに飛び込む。周りのチームメイトがその状況を作り出せば、必ず決めにかかる。これまでに幾度と見られた得点シーン。特にトライへこだわりは無く「(自分では)よく分からない」と話すも、そのプレーには攻撃への本能的なものが感じられる。


 昨年のリーグではチーム2番目に多くトライを決め(9本)、勝利に貢献した。この日決めた2トライは前半のリードを生み出した。その突破力とゴールラインへの嗅覚は西川の魅力である。今年はFWリーダーに就き「アグレッシブさ」をチームに呼びかけるが、そのことを一番に体現している。一方で「タックル後の次の仕事への早さ」を自身の課題に挙げ、さらなる向上心を見せた。来年以降はプレーするステージが上がることもあり、ディフェンスの意識はおのずと上がる。新たな武器が増えそうだ。


[モメンタム]

 チームはこれから関東勢との戦いを迎える。「今までやってきたタックルを中心に。自分たちのリズムに持っていければ」と西川は意気込む。タックルにトライ。闘志あふれるこの男のプレーがチームに最高のリズムをもたらす。


【『朱紺スポーツ』vol.3】


『朱紺スポーツ』vol.2

投稿日時:2009/04/22(水) 00:01

【WTB藤原 Aチーム初選出!!】

 リク桜、開花宣言!小原組の初陣となった京大戦。この日Aチーム初選出となったWTB藤原(総3)が最多4トライの活躍を見せる。新たな可能性を見出す、初戦となった。


[朱紺デビュー]

 そのときは前半13分に訪れた。丁寧かつスピーディーなパスワークが繰り出され、ボールを持つのはCTB松野尾(社3)。松野尾が相手DFを十分に引きつけると、一番外にいた藤原にボールが渡る。前には誰もいない。悠々とゴールラインに到達すると、その瞬間の味をかみ締めるようにそっと両手でボールを置いた。「CTBがうまく引きつけてくれた。あのトライで緊張が取れた」。仲間のサポートによって、藤原のデビュー弾は生まれた。


 自身にとって初めてとなるAチーム。「代表と言われて嬉しかったし、恥ずかしいプレーは出来ないなと」。関学高等部時代はキャプテンを務めていた。けれども、進学後は学部の関係から満足な練習が出来ず。今シーズン、努力が実りAチーム入りを果たした。主将も「成長株」と太鼓判を押す。


[レギュラーへ]

 朱紺のジャージを着て決めた、初めてのトライ。緊張から解き放たれ、それからはフィールドを奔走した。後半の大量得点の火ぶたを切ったのも藤原。終わってみればチーム最多の4トライを上げた。「4トライ取れたことを嬉しく思う」と大崎監督も礼賛する。

 

 WTBとしての仕事を果たし、小原組の初陣に花を添えた。手放しで喜べる一方で、藤原にとっての次なる戦いがそこに迫っている。「一試合でもAに残れるように」。関学のBK陣は層が厚く、争いが激しい。体格差の不利を自覚しているからこそ、この先はスピードとディフェンスで勝負する。努力の花は開いた。あとは朱紺の色彩をまとい、咲き誇るだけだ。


【コメント】

主将・小原「部内マッチもそうだけど、頑張ってきた子。もっと自信を持ってほしい。」

大崎監督「4トライ取れたことを嬉しく思う。満足することなく、貪欲に。サポート、指示出しもしていってほしい。」

 

【『朱紺スポーツ』vol.2】


『朱紺スポーツ』vol.1

投稿日時:2009/04/18(土) 00:40

【小原組、始動】

 朱紺の楕円闘球、再び。主将・小原正(社4)率いる2009年度関学ラグビー部の戦いが幕を開ける。目指すは国立、日本一だ!


 「関学、関西制覇」。ラグビー史に残る感動から半年。新たなる歴史を刻むために、小原組が始動した。「(目標は)日本一」。主将・小原の眼はっきりと大学選手権決勝の舞台・国立を捉えている。そこには関西を制する自信が見て取れる。


 けれども、おごりはない。「あくまでもチャレンジャー」。昨年の主将が常に口にした台詞は、関西制覇へ導く金言だった。そしてそれはいま、関学ラグビー部そのものを表す代名詞となっている。「おごらず、謙虚な部員が多い」と副将の片岡将(総4)。


 

 一方で、チームの戦力が関西に留まらないレベルに達していることには、誰もがうなずく。ディフェンス面での強さをベースに、そこからの攻撃やゲームマネージメントは随一。それに加え、オフシーズンから取り組む肉体改造も重要なファクターとなる。数十キロの体重増加を果たした選手も。「去年と比べて、こんなに強かったっけ、という選手がいるのが収穫」と主将は舌を巻く。

 


 4月からいよいよ全体でのグラウンド練習が始まり、シーズンは本格化する。紅白戦も含め、京大との定期戦を皮切りにほぼ毎週、対外試合が組まれるなど実戦の機会は豊富。また例年と違って関東の強豪校とも試合を行なうため、さらなるレベルアップが図れる。「試合が一番の練習。上半期のうちに激しい競争をして、リーグにつなげたい(小原)」。全ては日本一のために。小原組の戦いが、いま始まった。


【部内広報紙『朱紺スポーツ』vol.1】


主将・小原 vs 副将・片岡

投稿日時:2009/02/24(火) 12:21

あの感動から数ヶ月。2008年度納会を終え、関学ラグビー部は新たなる船出を迎えた。

主将・小原正、副将・片岡将

新体制となったいま、チームを牽引するこの2人にそれぞれの胸中にある思いを聞いていこうと思う。

 

―就任までの経緯は?

小原(以下O)「1月の半ばくらいから話し合った」

片岡(以下K)「監督、コーチ陣の新就任の時期もあって例年よりはずれこんだ」

K「バラちゃん(小原の愛称)が主将になるのはストレートに決まってた」

O「副将や現役幹部については3回生同士で話し合って」

 

―先日の納会での新幹部の発表は?

O「風邪で休んでて…」

K「直前にバラちゃんからメールが来て。当日に小野さん(社4)が『新主将は情熱がありすぎて熱でたって挨拶しよ』なんて言ってきたけど、僕やったら絶対すべるから(笑)」

 

―(小原へ)どういった主将になりたい?

O「室屋さん(社4)が体張ってた人で、そのまま真似はできないけどコミュニケーションの面で超えられるように。積極的にとるようにしてる。(そういう雰囲気がないと)言いたい事も言えん気がして。それを無くしてどんどん言いたい事を言い合えるように。それが関学の良さでもあるから」

 

―このオフの過ごし方とは?

K「1月いっぱいテストがあって、しっかり休みをとる。ラグビー部全体は2月からで。それでも個人的にウエイトをやってる子は多いみたい。意識は上がってる」

O「考え方が変わってきている。意識が高くなって、この状態が続いていけば常勝軍団になれると」

 

―個人的にはオフに何を?

O「筋トレと体重を増やしつつ。体重を増やしていくのが、ぼくらが考えたことやから。目標は3月までに107㌔、いまは106㌔ぐらい。」

K「1ヶ月休んでくれ、って上から言われてて、、、ご飯食べて、ゆっくり休んで。1ヶ月リフレッシュさせてもらった。体重設定もクリアしたし」

 

―体重設定というのは?

K「トレーナーの辰見さんが個人個人に決めてくれて」

O「それをクリアしないと試合にも、ましてや練習にすら出れない。勝っていくうえでの必要なもの」

 

―昨シーズンは自身にとってどんなものだった?

O「勉強になった1年。4回生がやってきたものを見れた。ああいう4回生だと下の代もついてきてくれる」

K「コーチの萩井さんから言わせれば自分のおごりだったんだけど、春から調子出ずに、苦しいシーズンだった。リーグの同大戦でトライ決めて、それでも怪我して、そこから復帰して。怪我するたびに、ラグビー好きやなって。成長を実感したし、人間的に成長できた。」

 

―チームの成長、新監督の就任など取り囲む状況の変化に戸惑いは?

K「去年は4回生が基本的にまとめてやってくれてたし。まぁ今年はバラちゃんがキャプテンなんで大丈夫かなと」

O「学生主体に変わりはない。そんなにないです」

 

―関西制覇を実感した瞬間はありましたか?

K「実感っていうのが、あんまり無くて。あとからいろんな人に言われて『あ、そうか、優勝したんや』って。嬉しかったけど、同大に勝った方が嬉しかったかな」

O「編集部の『関学スポーツ』に載ったことかな(笑)」

 

―いま考えている今年のテーマは?

O「去年の形(ディフェンス)を精度上げていく」

K「去年のベースがあれば、関西では抜けられる。国立までには行けるけど、日本一になると運が必要。実際、運も必要やし練習して一日一日真面目にやっていくことが大事かな」

 

―練習以外の面でやっていきたいこととかある?

K「できればミーティングしていきたい」

O「去年は全員が意見を言えない感じ。もっと下からも意見を出して、気付かん部分を直して。もっと言いやすい環境を作っていきたい」

K「上下の差のないミーティングを。一体感、求めたいよね。」

O「みんなが納得するまでやるっていう」

K「環境の変化にいろんな意見も挙がるしね」

O「あとは清掃活動とかも考えてる」

K「まずは風紀的なものから。注目もされてるし」

 

―新体制が始まるプレッシャーは?

O「少しは(笑)。けど、面白そうの方が強い」

K「ワクワクするっていう。今年が勝負の1年かなっていう。関学史上一番強いチームを目指すことが嬉しいな。」

 

―では改めて今年の目標は?

K、O「(口をそろえて)日本一!」

K「春からプランを作っていけば、国立に行けるラグビーは見えてくると思う!(目標も)だいぶ見えてきたかなって。」

O「今年はその伝統を。早稲田だったら『展開ラグビー』、明治だったら『FW戦』。関学はない。それを作っていきたい」

 

―入学当時はどんな4年目を想像した?

K「(1年生次)ぼくらが一番に練習に来た2人で。運命かなって。そこから始まって、それが4年目になって、こうなった。1年目から練習がキツかった。そのなかで先輩がやってくれて、それが結果につながったんかなって」

O「上に竹内さん(社4)がいて『良いチームやから』って言われて入部した。入って、周りの強豪校の高いレベルの当たり前が体験できて、意識変わった。高い意識を感じられて、特にぼくらの学年は意識高くなった。本当、この代でよかったなと」

 

―プレーヤーとしてラストイヤーの目標とかあれば

K「今年はBKで一番体を張らないといけない。怪我をせずやれば結果が出る。全試合出て、大学選手権行って、国立。日本一に貢献できる選手になりたい」

O「下仕事的なポジション。ディフェンスも一番大切やけど、もっと積極的なアタックを」

 

―関学ラグビーの魅力とは

O「いい意味での上下関係ないのと、、、(考え中)」

K「関学っておごらず、真面目で謙虚なやつが多い。部員が多くて、あの人数やと平日練習とか成り立たないかもしれんけど、部員全員がまとまりあるチーム。同回生も、就活の合間に、こうして筋トレに来る奴がいたり、意識高い」

 

―今年の注目ポイントは

K「あくまで謙虚。チャレンジ精神で戦い続けるところを」

O「去年よりも体デカくなるんで、激しさが増す。その激しいところを見て欲しい」

 

―そういえば、2人は試合直前で目に涙が浮かぶ場面が見られる。そのわけを…

K「熱くなって。バラちゃんは100パーセント熱くなるタイプやから。ぼくはレギュラーなるまでの苦労を思い出したりで。ジャージ着るん大変やったなって。2回生で初めて着たときも嬉しかったけど、3回生のときは『やってやろう』と」

O「練習とかで試合にに出てない4回生がやってくれる。それを見たら『勝たなあかん』と。こみあげるもんが、、、それが大きいかなって。その人たちのためにやろう!それで涙が出てくる」

 

―では最後に。自分自身にとってラグビーとは

K「自分の存在価値を高めてくれる。自分にとっても周りにとってもプラスになる。生きがい。ラグビーがないと生活できない。何もしなくてプータローだよ。そう考えたら、ラグビーないのが考えられない。ラグビーを通じて得た仲間って特別だよね。一生の友達になるし。死ぬまで仲間」

O「今はなくてはならないもの、最高のスポーツだと思います」

 

 昨年の大躍進のなかで、関係者が口にした言葉がある。「歴史を変えた。けれども続けていかなければ、本当の意味で歴史は変えたことにならない。」前年度の成績があってこその周囲からの期待は言わずもがな、今年のチームに降りかかる。それでも部を引っ張る彼らの言葉からは、チャレンジャーとしての自信がはっきりと見て取れた。そこにあるのは”挑戦者”の看板を背負った新たなる関学ラグビー部の姿。さらなる次元へ挑む朱紺の闘士たちの熱きシーズンがまもなく始まる。

(取材:2月10日/ラグビー部部室にて)

 

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