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「緑川組~MOVE~」

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『スピリッツ』vol.4

投稿日時:2010/05/03(月) 12:26

 長野(社4)に次ぐ、第2のスピードスターここに在り!その男の名は原田遼(人1)。50mを5秒台で走り抜ける彼は、関学ラグビー部の期待の新星だ。

憧れの選手】

 原田は小学生の頃、陸上に打ち込んでいた。当時の憧れは長野。そう、関学が誇るスピードスター、長野直樹のことである。長野も中学生時代には陸上をしていて、陸上界では知らない人がいないほどの実力の持ち主だった。その憧れの長野が高校からラグビーを始めたと聞き、原田は衝撃を受けた。「じゃあ俺も―」と始めたラグビーが今では、日本一を目指すほどのものへ。

 

原田は大学進学の際、関学か同大の選択に迫られた。関学には陸上、ラグビー両方において尊敬する選手である長野がいる。そして高校時代からの先輩、小原渉(人3)の存在。選手達の意識の高さに加え、恵まれた練習環境。原田にとって関学は最高の場所だった。「関東を倒すならここしかない」。そう思い、関学への入学を決めた。

 

また、尊敬する選手を尋ねると「長野さん!」と即答するほどの大好きっぷりで、周囲から冷やかしが入るほど。当の長野も「原田は足が速いだけじゃなくて、ガッツもある。ひるまずにタックルいけてるし、いい刺激になる」と、弟分、原田を認めている(?)ようだ。

  

驚異的速さ】

関学の練習に参加し始めて約1カ月が経った。「高校と大学のラグビーは激しさが全然違う」と原田は言う。高校時代にはスピードで勝負できていたが、大学ではそれだけでは通用しない。コンタクトの面での未熟さを実感した。今後はスピードの落ちない体づくりが課題だという。

 

しかし、スピードに関して原田は部員からも一目置かれる存在。持ち前の俊足でフィールドを縦横無尽に駆け回る。練習中には「原田をマークしろ」との声があがるほどだ。さらに摂南大との1年生デビュー戦でも驚異的スピードで一気に走り抜け、トライを決めるなど、存在感をアピール。そして1年生にしていきなりのAチーム入りを果たした。

原田の次なる目標はレギュラー入り。そして「長野さんと国立で一緒にプレーすることが夢っス」と明るく語った。この夢を叶えるチャンスは今年1年間のみ。関学の2人のスピードスターが、国立のフィールドを駆け抜ける姿を見ることはできるのだろうか。その日の訪れを待つばかりである。

 

緑川組の「MOVE」をまさに象徴する原田。1年生らしい初々しくもスピード感のある大胆な彼のプレーは、関学ラグビー部に新たな旋風を巻き起こす。



▲念願の2ショットに笑顔の原田(左)


(記事=篠原沙耶 写真提供=坂口功将)

『スピリッツ』vol.3

投稿日時:2010/04/30(金) 16:39

 主将・緑川、部員たちに檄!神鋼灘浜グラウンドで行なわれた法政大との合同練習。実戦形式でミス連発のメンバーたちに緑川は「ひたむきさがなかった」と叱責。選手一人一人の意識改革が求められる合同練習となった。

 

 

【今年初の関東

 強い風が吹くなか、暖かな日差しが神鋼灘浜グラウンドの芝生を青々と照らしていた。昨年に引き続き行われた法政大との合同練習。今年は試合をすることは叶わなかったが、実際にレフェリーを呼び、実戦色の濃い本格的なマッチアップが実現。2010年度関学ラグビー部発足以来初となる関東の大学との交流に、緑川は「練習とはいえ絶対に負けられない。圧倒する」と意気込みを見せていた。

 

 そして一時間のアップののち、両者がぶつかり合う時が来た。気合いは十分。AチームとBチームが交互に入れ替わりスクラムからの攻防を重点的に行った。しかし関学にも法政大にもミスプレーが目立ち、「ホンマ(の実力)はどうなんかなって感じ」と緑川も本音を漏らした。その後FW、BK別のパート練習があり、合同練習は3時間ほどで終了した。

 

【気持ちの問題】

 練習後、FWリーダーの林(文4)は「まだ全然走れてない状態。意識も低かった。この合同練習にはAとBしか来れないということをもっと自覚して欲しかった」と語った。しかし、一昨年の選手権で敗北を喫したときよりも、両者の差は縮まったという。だが、「勝ってはいない」とも。また緑川も「自分らはAチームやのにミスばっかで、下のチームから『やる気あるんかな』って思われる。それはあかん」と意識面での指摘が目立った。チームのメンバー全員が、日本一へ向けて「勝ちたい」という強い意志を持って日々臨むことが勝利への重要な鍵を握る。それが今回で一番の収穫かもしれない。

 

またプレー面では、「ブレイクダウンが1年間の課題」と林。日本一を目指すうえで避けては通れぬ関東の壁。昨年同様に負けて涙をのむのか、勝って勝利の雄たけびを上げるのか―。今回は互いの力量を明確に測り知ることが出来なかったが、秋にあいまみえる頃には両校とも全く別のチームが出来上がっているはずだ。「打倒関東」。この至上命題を果たす日まで関学は日々成長の歩みを止めることはない。

 

(記事=山本大輔 写真提供=坂口功将)

『山本有輝のROOKIESな日々』vol.3

投稿日時:2010/04/27(火) 23:45

 ルーキーズたちが圧勝をおさめた。ここがオレたちのスタートラインだ!


【第3回】

 

 いつもと変わらぬ風景だった。試合当日のルーティーン。Leccaの『My measure』を聞き、試合に臨む。ちなみにこの男、引退した身である。


 4月25日、山本総監督率いるルーキーズがデビュー戦をむかえた。彼にとっては選手権以来のガチンコゲームだ。グラウンドに立つこと自体は同じだが、この日は立場が違う。サイドラインで構え、躍動する若きラガーマンたちの姿を見守る。耳にはインカムを装着し、交代などの指示出し。となりにはBK面を担当する片岡を伴い、その2人の姿はさながら本当に総監督とヘッドコーチのようだ。



▲選手たちを見つめながら、声を張り上げる


 以前から「こてんぱにしたる」と意気込んでいたとおり、試合は関学ルーキーズが圧勝を収める(58-7摂南大)。戦術面は1回生たちの自主性に任せた。「まだ自主性に慣れてなくて、指示待ちの場面が多い。試合に入ったら自分らでやるしかない」(片岡)。指揮官たちが決めたのはメンバー構成のみ。「実力とかじゃなくてバランスで」配したという。そうして初めてのメンバー同士ながらも圧倒できた。さて総監督の目にはどう映ったか。


 「フロントローが走ってた。前の5人が真面目に走り続けてた。(活躍が目立った)LO春吉(臼杵=関西学院=)も自分のキャラを理解してたし」


 レベルの高さは前々からにらんでいたとおり。各々のアピールに加え、スローガンに見合った動きも見られ、まずは合格点を与えられるところか。


 「4年間のスタートやし。これがあって、いろんなことが積み重なる。オレらはそれを経験し終わった分、それが見えるから。楽しみ」


 そう、彼ら38名の戦いは始まったばかりなのだ。(続く)

 


▲試合後、観戦に訪れた玉泉を勧誘?(台詞はフィクション)


<不定期連載>

『スピリッツ』vol.2

投稿日時:2010/04/26(月) 15:50

 春シーズン2戦目の摂南大戦。主将の2トライなどもあり2連勝を果たした。『MOVE』ラグビーはまだまだすごくなる!


<『スピリッツ』vol.2>

【今季初トライ】

 開始早々のPR高橋(商3)のトライを皮切りに、関学は着々と得点を重ねた。SH中西(経2)からパスを受けたのは、我らが主将・緑川(商4)。そのまま敵陣へ駆け込み、左隅へ堂々トライ。自身、今季初トライを飾った。主将のワンプレーにチームが湧き上がった。


後半に突入し、関学の攻撃はさらに激しさを増した。緑川のこん身のタックルで、中西はほぼ独走の状態になり、インゴールへ。誰よりもチームの勝利を願う主将の思いがこもったアシストだった。その後も勢いにのる関学であったが、一瞬の隙をつかれ、自陣に攻め込まれる。しかし、チームのピンチを救ったのはやはり、緑川だった。激しいぶつかり合いを繰り広げるなか、ボールを奪い、NO.8小原(人3)が前へ。彼は緑川にパスを回した。ボールを手にした瞬間、緑川は一気に駆け出す。10メートルラインからゴールラインへ一直線。追ってくる相手を尻目に、どんどんとスピードを加速していった。そして敵を寄せ付けることなく落ち着いて左隅へトライ。自らゴールへ向かう姿勢で、全体を鼓舞する声とともにチームを引っ張った。最終スコア、59―26の圧勝。主将を筆頭に全員がMOVEした結果だった。「自分のトライもまあ嬉しい。でもチームが勝てばいいかな」と語る緑川の表情からは安堵とともに、次への闘志も垣間見えた。


【法政大と練習】

 2連勝を飾り波に乗る関学。緑川組は次なるステップへとふみ出した。次は法大との合同練習。「練習とは言え絶対に負けられない。圧倒したい」。新たな関学のラグビーを見せつけよ。


(記事=篠原沙耶 写真撮影=坂口功将)


『山本有輝のROOKIESな日々』vol.2

投稿日時:2010/04/25(日) 00:12

 明日に迫ったデビュー戦。直前に見えた、ルーキーズたちの変化とは・・・


【第2回】

 

 4月下旬になりながらも日が落ちたグラウンドでは寒風が吹きすさぶ。それでも熱気はむんむん。ラガーマンたちは声を張り上げる。グラウンドの端の方では別メニューに取り組む1回生たちの姿が。そしてもう一人。そこには総監督がいる。


 猛練習に励むルーキーズたちにげきを飛ばす。ときに手を叩き、ときに声を出す。その一挙一動に熱がこもる。


 練習の一間。山本が嬉しそうに話した。


▲手をたたき、鼓舞する


 「言うたら、言うただけやりよる!」


 指導者冥利につきるか。1回生たちの吸収力に喜びの声をあげる。


 週初めのことだ。山本と片岡(BK担当)は新入部員たちを観察していた。そして一喝したという。


 「高校生が抜けきってない。だらだらして、しゃべってばっかで。(片岡と)泳がして見てたら『あぁ~やらへんなぁ』って」


 打って変わってキビキビとした動きを見せていたこの日。先輩たちの叱咤に、ルーキーズたちが理解をしめした証だ。


 「あおって、本気にさせるだけよ。オレが一番声が出てるのも、それが一番響くやろうしって」


 〝気持ち〟の男は全開そのものだ。そして山本の視線は明日に迫ったデビュー戦に向けられている。


 「どんだけ楽しみか!勝って欲しいな」


 試合ではインカムを装着し指揮も執るという。ますます存在感を増してきた(?)総監督率いるチームが出陣のときをむかえる。


 「こてんぱにしたるよ!」


 見込み十分と期待を寄せる新生チームを見つめながら、練習中にぽろりとこぼした言葉が何よりも頼もしい。(続く)



▲身振り手振りで指導に当たる


<不定期連載>


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