「小原組~ALL OUT~」 2009/12/21
『朱紺スポーツ』vol.25
投稿日時:2009/12/21(月) 07:13
関学のプレースタイルが「縦に」なら、「縦に」つながりのある男たちが活躍します!紺グレとの再戦となった選手権一回戦はHO緑川(商3)、FL西川(文4)のトライでリードを奪うと、SH芦田(人2)が負傷しながらも最後までプレーし、勝利に貢献した。
▲西川が切り込む
[緑川の復調]
選手権初戦のハイライトを飾るのは、奇しくも同じ高校出身の3人だ。緑川、西川、芦田はいずれも東海大仰星高出身。シーズンとおして活躍見せる男たちが闘志を爆発させた。
まずはFW陣のなかで唯一の3回生レギュラーをはる緑川だ。先制点を許し、流れを引き戻したいなかで同点トライ。インゴールへのアグレッシブな姿勢は全国の舞台でも健在だった。また、試合前日の練習後も入念に行なっていたスローインもこの日は安定感抜群。リーグ戦では苦い思いをしてきただけに「けっこう取れてた」と復調の兆しを見せた。
[西川の本能]
同点のまま進んだ前半半ば。男は相手のパスワークを眈々と読んでいた。西川がジャンプ一番でインターセプト。「(相手が)振りそうな雰囲気で。うまいこと入ってきた」。そこからは誰もいないゴールへの道をまっしぐら。「前しか見えてなくて。行ったろうと」。待望の勝ち越しトライを決めた。もはや攻撃センス、ゴールへの嗅覚は疑いの余地なし。それでも本人には勝ち越し点の自覚がないあたりが、怖いところ。トライゲッターとしての本能が、まだまだ敵陣を陥れていく。
[芦田の不屈]
得点で魅了する先輩たちとは別に芦田も不屈の精神で試合を乗り切った。前半18分にタックルをくらい足を負傷。いったんベンチに下がるほどのものだった。その場ではテーピングを何重にもほどこし戦線復帰。ハーフタイムには患部に注射を打ち、後半にむけて体勢を整えた。「前半はひきずったけど、後半は動けて」。前回とは別物だった紺グレに臆することなく、巧みなボール裁きで相手を翻弄し最後までプレーした。チーム全体の意思疎通も成熟しつつある状況のなかで芦田のタクトが火をふく。
彼らに共通するのは1年生次からレギュラーに名を連ねているということ。同校出身者の実力の高さがうかがえる。朱紺のジャージを揃えて戦う彼らが、次の明大とのFW合戦ではますます目が放せないぞ!
【『朱紺スポーツ』vol.25】

[写真提供:関西学院大学体育会学生本部編集部『関学スポーツ』]
試合詳報:選手権一回戦
投稿日時:2009/12/21(月) 07:07
【選手権一回戦 試合詳報&観戦記】
▲ハーフタイムの円陣
紺グレからのリベンジマッチ。そこにいたのは別人のライバル。開始早々に許したワントライで、関学の応援スタンドの空気はさぞかしヒヤリとなったか。「あせったかもしれんけど、勝利を信じて戦った」と主将・小原。ただ勝利だけを目指し、小原組は自分たちのラグビーを貫く。そうして「縦に」出る形をつくりあげ、前半13分にHO緑川がトライ。同点にすると、同26分にはインターセプトから自らボールを運んだFL西川が勝ち越しトライを決めた。前半にはSH芦田が負傷したが、やがて戦列に復帰しFWをコントロールした。
さらに追加点に成功するが、前半終了間際にトライを許しライバルの意地を見せられる。けれどもハーフタイムに小原組に浮かんでいたのは笑顔だった。
「ラグビーは楽しいもんやから。笑顔が必要。運もこっちくるし、笑おうぜ!」
主将を中心に円陣ではじけた笑顔は、それこそが勝利への意欲そのもの。ムードを高め、後半に臨んだ。
そのかいあってか、後半開始からLO松川が2トライで追加点を重ねる。相手の「勝ちたい」気持ちが反撃のトライとなって表れたが、こちらの「勝ちたい」気持ちがリードをしっかりと守りきる。
38-24で勝利し、2年連続の選手権初戦突破をはたした。
かたや失点シーンが浮かぶ試合内容も、大崎監督は「どこを守れるか、どこを抜かれれるかを徹底してやっている。抜かれる以前のとこで、抜かれていたのが問題」と今年の関学ラグビーのスタイルからこそ割り切っている部分と課題を口にした。主将・小原も「点を取られたのは反省。何が足りんかったか。意識で変えられるとこは変えていきたい」とディフェンス面の課題に面と向き合うつもりだ。
攻撃力は文句なし。そう言ってやまないFW陣が、次は『FWラグビー』の伝統校・明大とぶつかりあう。「BKで勝負してもいけるけど、最初はFWでまっこう勝負」と芦田は意気込んだ。小原組はいよいよ、念願の関東勢と手を合わせることになる。
2009年12月
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