「小原組~ALL OUT~」
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『勝ちたいんや!』
投稿日時:2009/12/26(土) 00:32
勝ちたいんや!だから勝ったんや!黒星は終わりを意味する選手権が幕を開けた。その初戦で同志社大を迎え撃ち、見事に撃破。闘志の源である、勝利への渇望が試合の明暗を分けた。

ノーサイドの笛が鳴り、整列する双方のジャージの色は、コントラストがくっきりとしている。校歌『空の翼』が響く歓喜の渦のなか勝利に浸る朱紺。そのすぐ横にはうなだれる紺グレの姿。負ければ終わりの選手権を表現する画が花園のグラウンドに描かれていた。
肌を合わせて感じた、ライバルの前回との違い。関西リーグ最終戦で下したときとは全くの別人。そうして試合は取りつ取られつの攻防が続く。
「(お互いの)勝ちたい気持ちが目に見えた試合」
そう主将・小原(社4)は感じていた。そのうえで断言できた。自分たちは「負けてない」と。
今年の関学ラグビーの核となるのは屈強なFW陣。自慢の攻撃力はこの日も爆発し、HO緑川(商3)、LO松川(経4)らがトライをあげた。そのなかで貴重な勝ち越しトライを決めたFL西川(文4)は試合前の心境を話す。
「負けたら終わりっていうのがあって。出れる人も出れない人も気持ち入ってて、応えようと」
シーズンは大詰め。決して負けることが許されないところまできた。グラウンドで戦うもの、それを見守り支えるもの、すべての思いが一戦ごとに集約される。
関西を2連覇しても、それは夢半ばだ。ここで終わるわけにはいかない。だから男たちはさらに強くなれる。
「気持ちの分で、必死にやってくれて。勝ちたい気持ちが上回った」(小原)
ライバルとの実力は互角だった。そのわずかな差を分けたのは、勝利への渇望に他ならない。「勝利を信じて」戦い続けた朱紺の闘士たちにラグビーの神様はほほえんだ。
「勝ちたい」という純粋な気持ち、それは夢を実現するまであせることはない。
試合後、緑川は言った。
「トライ取れたのは、みんなのおかげス。FWで3回生が僕だけなんで。4回生を胴上げできるように」
FWの中心で躍動する男の、「勝ちたいんや」が垣間見えた気がした。■
▲勝利への思いを全面に押し出す緑川
『朱紺スポーツ』vol.25
投稿日時:2009/12/21(月) 07:13
関学のプレースタイルが「縦に」なら、「縦に」つながりのある男たちが活躍します!紺グレとの再戦となった選手権一回戦はHO緑川(商3)、FL西川(文4)のトライでリードを奪うと、SH芦田(人2)が負傷しながらも最後までプレーし、勝利に貢献した。
▲西川が切り込む
[緑川の復調]
選手権初戦のハイライトを飾るのは、奇しくも同じ高校出身の3人だ。緑川、西川、芦田はいずれも東海大仰星高出身。シーズンとおして活躍見せる男たちが闘志を爆発させた。
まずはFW陣のなかで唯一の3回生レギュラーをはる緑川だ。先制点を許し、流れを引き戻したいなかで同点トライ。インゴールへのアグレッシブな姿勢は全国の舞台でも健在だった。また、試合前日の練習後も入念に行なっていたスローインもこの日は安定感抜群。リーグ戦では苦い思いをしてきただけに「けっこう取れてた」と復調の兆しを見せた。
[西川の本能]
同点のまま進んだ前半半ば。男は相手のパスワークを眈々と読んでいた。西川がジャンプ一番でインターセプト。「(相手が)振りそうな雰囲気で。うまいこと入ってきた」。そこからは誰もいないゴールへの道をまっしぐら。「前しか見えてなくて。行ったろうと」。待望の勝ち越しトライを決めた。もはや攻撃センス、ゴールへの嗅覚は疑いの余地なし。それでも本人には勝ち越し点の自覚がないあたりが、怖いところ。トライゲッターとしての本能が、まだまだ敵陣を陥れていく。
[芦田の不屈]
得点で魅了する先輩たちとは別に芦田も不屈の精神で試合を乗り切った。前半18分にタックルをくらい足を負傷。いったんベンチに下がるほどのものだった。その場ではテーピングを何重にもほどこし戦線復帰。ハーフタイムには患部に注射を打ち、後半にむけて体勢を整えた。「前半はひきずったけど、後半は動けて」。前回とは別物だった紺グレに臆することなく、巧みなボール裁きで相手を翻弄し最後までプレーした。チーム全体の意思疎通も成熟しつつある状況のなかで芦田のタクトが火をふく。
彼らに共通するのは1年生次からレギュラーに名を連ねているということ。同校出身者の実力の高さがうかがえる。朱紺のジャージを揃えて戦う彼らが、次の明大とのFW合戦ではますます目が放せないぞ!
【『朱紺スポーツ』vol.25】

[写真提供:関西学院大学体育会学生本部編集部『関学スポーツ』]
試合詳報:選手権一回戦
投稿日時:2009/12/21(月) 07:07
【選手権一回戦 試合詳報&観戦記】
▲ハーフタイムの円陣
紺グレからのリベンジマッチ。そこにいたのは別人のライバル。開始早々に許したワントライで、関学の応援スタンドの空気はさぞかしヒヤリとなったか。「あせったかもしれんけど、勝利を信じて戦った」と主将・小原。ただ勝利だけを目指し、小原組は自分たちのラグビーを貫く。そうして「縦に」出る形をつくりあげ、前半13分にHO緑川がトライ。同点にすると、同26分にはインターセプトから自らボールを運んだFL西川が勝ち越しトライを決めた。前半にはSH芦田が負傷したが、やがて戦列に復帰しFWをコントロールした。
さらに追加点に成功するが、前半終了間際にトライを許しライバルの意地を見せられる。けれどもハーフタイムに小原組に浮かんでいたのは笑顔だった。
「ラグビーは楽しいもんやから。笑顔が必要。運もこっちくるし、笑おうぜ!」
主将を中心に円陣ではじけた笑顔は、それこそが勝利への意欲そのもの。ムードを高め、後半に臨んだ。
そのかいあってか、後半開始からLO松川が2トライで追加点を重ねる。相手の「勝ちたい」気持ちが反撃のトライとなって表れたが、こちらの「勝ちたい」気持ちがリードをしっかりと守りきる。
38-24で勝利し、2年連続の選手権初戦突破をはたした。
かたや失点シーンが浮かぶ試合内容も、大崎監督は「どこを守れるか、どこを抜かれれるかを徹底してやっている。抜かれる以前のとこで、抜かれていたのが問題」と今年の関学ラグビーのスタイルからこそ割り切っている部分と課題を口にした。主将・小原も「点を取られたのは反省。何が足りんかったか。意識で変えられるとこは変えていきたい」とディフェンス面の課題に面と向き合うつもりだ。
攻撃力は文句なし。そう言ってやまないFW陣が、次は『FWラグビー』の伝統校・明大とぶつかりあう。「BKで勝負してもいけるけど、最初はFWでまっこう勝負」と芦田は意気込んだ。小原組はいよいよ、念願の関東勢と手を合わせることになる。
『朱紺スポーツ』vol.24
投稿日時:2009/12/10(木) 02:40
初戦は同志社大!7日に行われた抽選会で、今年の大学選手権の組み合わせが決まった。関学の初戦はなんと、リーグ最終戦で勝利したばかりの同大。波乱うずまく選手権で、関西王者の強さを見せつけられるか。

▲抽選会場にて。主将・小原。[写真提供:スポーツ法政]
[紺グレと再戦]
まさか、の展開だ。その発表に驚きにつつまれた。関西1位でシード権を確保し、準決勝で早稲田大と当たるブロックに入ったのち。小原組の初戦の相手が決まった。『紺グレ』だ。
抽選会のつい2日前、リーグ最終戦であいまみえたばかり。しかも一回戦の会場は同じく花園。対戦相手も場所もまったく一緒の〝再戦〟が行なわれることとなった。
それでも前回とは互いの気持ちの面が異なる。リーグ戦とは違い、負けたら終わりのトーナメント。自分たちはもちろん、相手も必死になってぶつかってくる。向こうにとっては2回戦進出もついてくる、大きなリベンジマッチ。お互い手の内は見せ合っているライバル同士だけに「意地と意地のぶつかりあいやね」と主将・小原(社4)は話す。
たとえ一度は下した相手でも、あなどることはない。むしろ警戒心を強めている。先日の試合を振り返って、分析スタッフたちも相手の出方に「何をしてくるか分からん!」と悩む。最終戦はキックパスに翻弄され、ピンチに陥った場面もあった。再戦も楽観視はなく、同大と真正面から激突するつもりだ。
そのために「強化できるとこは強くして。DFを強化したら、もっと良くなる」。2週間でさらなるレベルアップをはかる。週末には同大対策を兼ねた合宿を行い、『自分たちのやりたいラグビー』を再確認する。
「春から大学選手権のためにやってきた」と話すように、一時も忘れることのなかったバトルフィールド。組み合わせを見る限り、他のブロックと比べても激戦区と呼べるとこではない。けれどもKGラグビーの真髄でもある「がむしゃらにやる」ことを忘れずに、日本一への階段を上っていく。まずは初戦、紺グレを迎え撃つ!
【『朱紺スポーツ』vol.24】

『朱紺スポーツ』vol.23
投稿日時:2009/12/05(土) 01:57
完全優勝だ!小原組が最終戦で同大を下し、無敗での優勝を果たした。その後行なわれた祝勝会では、関学ラグビー部に携わる者すべてが喜びに浸り、勝利の美酒をかわした(※)。
[歓喜の2連覇]
宿敵を倒し、無敗で勝ち取った勝利の味は格別だった。試合後、大阪市内のホテルで行われた関西制覇の祝勝会。体育会関係者やラグビー部OBが多数、足を運び小原組の栄誉を称えた。
始まりは予想外の展開からだった。式開始直後の大崎監督からの挨拶の際、「今日、朱紺のジャージを着ることのなかった4回生は前に」とサプライズ。出場した22人を支えた、それ以外のメンバーへの感謝の意をこめたサプライズだった。そうして壇上にあがった4回生たちに監督からひとり一人メッセージが述べられた。
監督の粋な演出から始まった祝勝会は、関係者各位が祝いの言葉を述べ、進行する。体育会会長・根岸教授から「幸せです!」の声が上がれば、KGAA会長(体育会OB会)の渡辺氏からは「誇りに思っている」の言葉が。万歳三唱も交えながら、喜びのムードにみなが酔いしれた。
やがて学年ごとの紹介があり、その後Aチーム22人全員が壇上にあがりインタビュアーの質問に答え、思いを告白。主将・小原(社4)も挨拶をした。
小原「OBや保護者の方々の応援があって優勝できた。ありがとうございます。自分たちの代は、入ってきたときに周りのメンバーみんな体重軽くて。4年生になって、努力してここまできた。努力は決して裏切らないんだなと、関学のチームですごく感じている。日本一にむかって、やれることはまだまだある。関東のチームに勝って日本一になりたい」(略)
主将が感謝の気持ちと目標にむけての思いを口にし、最後に部歌『出陣の歌』を歌い、式は幕を閉じた。
その後、部員たちは「V2」コールを大阪の夜に響かせ、「今日は思う存分」と言われたとおりに、歓喜に浸った。翌日からはまた日本一への挑戦が始まることも、今宵限りは忘れて―。
【『朱紺スポーツ』vol.23】

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