「緑川組~MOVE~」 2010/12
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『スピリッツ』vol.34
投稿日時:2010/12/30(木) 10:08

<『スピリッツ』vol.34>
【関西大学Aリーグ】
リーグ開幕前の周囲の下馬評は、決して芳しいものではなかった。それは春・夏を通して思うように勝ち切れなかったことと、全体的に若いチームを不安視する声があったからだ。しかし、選手たちはそんなプレッシャーをはねのけ、初戦の立命大戦を制する。
そしてリーグ最終戦では、3年連続で天理大学との優勝決定戦となった。今年の天理大は圧倒的な試合展開で全勝を続けてきている相手。関学の勝機はロースコアに持ち込むこと。しかし、攻撃的な天理大オフェンスに押され14―50で敗北。関西V3は逃したが、選手たちの目に曇りはない。目標は遥か高み、「日本一」。関西第2代表として全国の舞台へと出陣する。
【大学選手権大会】
選手権2回戦の相手は天下の早大。しかし、その圧倒的なネームバリューを前に、選手たちに気負いは一切なかった。「若い」と言われ続けてきたチームはいつしか、大きく成長を遂げていた。試合には惨敗するも、この一年間FWが重点的に取り組んできたモールで2トライを奪うなど、成果を見せる場面もあった。
試合後、「この一年間しんどかったけど、楽しかった」と緑川。後輩たちには「気持ちでラグビーすること」の大切さを説いた。今年、日本一の夢を叶えることは出来なかったが、頂への距離は確実に縮まった。(山本大輔)
『スピリッツ』vol.33
投稿日時:2010/12/26(日) 03:00

<『スピリッツ』vol.33>
【リベンジ】
各大学が実力どおりに2回戦に駒を進めた今年の選手権。初戦で福大に快勝した緑川組に次に立ちはだかるのは、関東大学対抗戦王者の早大だ。関学が関西2位に終わった翌日、こちらは劇的勝利で栄冠を手にしている。これまでのどの敵よりも強大であることは間違いない。「強いんちゃうかな!展開力あるし」と主将・緑川昌樹(商4)は印象を語る。
チームにとっては夏の菅平合宿で大惨敗の屈辱を喫した相手。選手権の組み合わせが決まった当初から、リベンジをにらんでいた。あのときとは違う、リーグ戦を経て成長した自分たちのラグビーを存分に見せつけるのみだ。
【番狂わせ】
関学第2フィールドで行なった前日の練習では、部員全員がメンバーを囲み鼓舞した。「がんばらなアカンな」と緑川が話すように、自然と闘志が湧き上がる。チーム一体となったムードで、瑞穂の地へ繰り出した。
戦いの舞台となる瑞穂は朱紺にとって因縁の場所。これまでの2年間、そして今年同様に2回戦で、関東勢に敗れ夢果てている。〝3度目の正直〟となる今年、『関東の壁』を打ち破ってみせる。
対抗戦王者と関西2位。下馬評は、アカクロ優位。それでも「やってみな分からんね!(大事なのは)絶対、気持ちやと思う。気持ちでどれだけやれるか」と主将は語気を強める。闘志をたぎらせ、狙うはジャイアントキリング(=大物食い)だ。
練習が終わっても、大崎怜(商4)に付き合ってもらいスローインの練習をしていた緑川。その際ふと口にした台詞が一戦にむけての偽らざる本音。「楽しみやな」―。その目は、強く輝いていた。
(記事/写真=朱紺番 坂口功将)
『スピリッツ』vol.32(裏面)
投稿日時:2010/12/23(木) 00:32

<『スピリッツ』vol.32(裏面)>
【渕本伸二郎】
この試合に臨むまで、しばらくスタメンを離れる試合が続いた。前半をピッチの外から眺める自分に焦りを覚えることもあった。そんな中、迎えた選手権一回戦。舞台は地元の福岡。そしてスタメン表には数試合ぶりに渕本が名を連ねる。「今日(地元)に間に合って良かった」と渕本は話す。福大には高校時代の仲間も多い。SHの国弘やCTBの守田などがそうだ。昔の同志が今、倒すべき敵となって目の前に立ちはだかる。しかし、そういった相手にも物怖じすることなく渕本は自分のプレーにのみ徹した。
その最たるものが前半21分のアシストパスだ。右中間22メートル付近ラックより芦田が渕本にボールを回し、最左翼の松野尾への「2人飛ばしパス」。その瞬間スタンドからは「おぉ~」という声援が沸き起こる。松野尾はそのまま左スミにトライを決め、試合を有利に進めることとなった。渕本も「あれは持ち味出せた」と試合後に語った。
そして試合にも勝利し、チームは2回戦進出を果たす。しかし、勝利の瞬間をピッチで迎えた渕本には、まず反省の気持ちがあった。「自分のタックルミスでトライを取られたりして…気持ちの良い勝利ではなかった」。次戦の相手・早大は優勝候補筆頭。1秒も気の抜けない試合となることは必至だ。さらに「向こうのキャプテンは同期なんで、圧倒されないように」。全国に散らばったかつての仲間たちが、渕本のモチベーションとなり最高のプレーを演出するのだ。(山本大輔)
【松野尾允】
レベルファイブスタジアムで行われた福大との一戦は、関学にとってアウェー。しかし小倉高出身の松野尾は地元での試合に「知り合いも多くていい感じで試合できた」と振り返る。その言葉通り、この日の松野尾はいつもとひと味違った。前半21分、22メートルライン内側で渕本からの飛ばしパスを受け取りそのままトライ。なかなか点を取りきれなかった前半に、チームに勢いをつける追加点をあげる。また、残り時間が10分を切り、少しでも相手を引き離したい後半33分。またも松野尾が見せた。敵陣でパスを回しながら攻め込み、最後はゴール前でボールをもらい、2本目。このトライで点差は24点に。関学の勝利を決める貴重な得点を奪った。
そして、この勝利を受け「小さい頃から早稲田は強いって知ってた。やっと届いた。楽しんでやりたい」と先を見据える松野尾。早大戦、勝利を呼び込む松野尾の活躍に期待したい。(宮本直実)
『スピリッツ』vol.32
投稿日時:2010/12/22(水) 21:42

<『スピリッツ』vol.32>
【目標は日本一】
再び出陣のときがやってきた。日本一を懸けた朱紺の戦士たちの戦いが始まりを告げる。関西大学Aリーグでは天理大相手に敗戦を喫し、3連覇の夢は散った。その敗戦から2週間、チームはディフェンス面を見直しさらなる強化を図る。そして、全国大学ラグビー選手権大会に挑んだ。
初戦の相手は全勝で優勝を決めた九州の強豪校である福大。自力では勝る関学だったが、前半は得点を奪うことができず苦戦する。相手ディフェンスを翻弄(ほんろう)するパス回しを繋いでいく。何度もトライのチャンスが巡ってきたが、相手の粘りのディフェンスを前に点を取り切ることができない。しかし前半16分、相手の反則からゴール前でラインアウトを獲得。FWがリーグ戦を通して見せたモールの強さを見せつける。最後はナンバー8小原(人3)がラックから抜け出しトライ。関学が得意とする形で先制点を奪い取った。5分後にはSO渕本(社4)の絶妙なパスでWTB松野尾(社4)がトライを決め5点を追加する。その後福大に1トライ許し、12―7で前半を折り返す。
後半開始早々、ミスから陣地内でボールを奪われ危ない場面を迎える。しかしその場を何とか凌ぎ切ることができた関学。この最大のピンチを切り抜けた後、流れは関学に傾き始める。後半8分、HO緑川(商4)が2本続けてトライ。相手を突き放すことに成功する。勢いに乗り出した関学は小原が2つ目のトライ、最後はWTB長野(社4)がダメ押しのトライを決め、43―12で試合を制した。
【次戦の相手は】
見事初戦を突破した関学。目標とする日本一に一歩近づいた。しかし次戦の相手は関東大学対抗戦Aで優勝を果たした早稲田大。夏の練習試合で大敗を喫した相手でもある。その相手にどのように戦うのか、関学の真価が問われる。(宮本直実)
『スピリッツ』vol.31
投稿日時:2010/12/14(火) 17:30
これが最後の闘姿?4回生の引退試合として設けられた三菱電機戦で、主務・橋本憲典(商4)とトレーナー代表・大崎怜(商4)が久々のプレー姿を見せた。普段は縁の下でチームを支える2人は、MOVEするも試合後はバテバテだった。

『スピリッツ』vol.31
Aチームのメンバーを除き、4回生全員がスコッドに名を連ねる恒例の『4回生ゲーム』。もちろん、スタッフの面々もジャージを身につけ、ピッチに足を運ぶ。その姿に同期たちは歓迎の声をあげ、後輩たちは声援をおくる。今年は主務・橋本とトレーナー代表・大崎が久々のプレー姿を見せた。
出番を控え、緊張した表情を見せていたのは橋本。2年半ぶりのピッチには、HOではなくPRとして立った。「ブランク感じました」と、自身はトップスピードで走っていたつもりでも、周囲からは「遅い!」と厳しい突っ込みが入った。そんな主務にも見せ場が。SO與座大樹(文4)がインゴールまで駆け抜けたのちに、橋本にボールを手渡す。「仲間の優しさということで。つないでもらったボール、おかしてもらいました」。これもトライ?かは分からないが、仲間との絆を実感させた。
橋本に続いて出場したのは大崎だ。こちらは高校1年生次以来のプレー。ディフェンダーをかわし、ゲインするなど軽やかな姿を見せた。「ラグビー自体をやってないんでね。抜けただけでも頑張ったんじゃないかな」。また、高等部出身の多い学年とあって、感慨げにも。「竹内、河合、陸(藤原)たちも覚えてないくらい、ラグビーも久しぶりで。楽しかったスね」。トライも決め、笑顔をはじけさせた。
2人とも出場時間は少ないものだったが、普段からプレーしてない事実を考えれば、それも過酷。くわえて試合後のフィットネスも課せられ、バテバテだった。それでも「4年生のみんなと一緒に出れて良かったです」と橋本が言えば、大崎も「最後の最後にラグビーできて良かった」。
『4回生ゲーム』が済めば、残りシーズンは本来のポジションに戻り、〝選手たちのために〟それぞれの仕事に専念する。この日2人が見せたのは、ラガーマンとしての最後の姿だった。
(記事=朱紺番 坂口功将)
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