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「緑川組~MOVE~」

『スピリッツ』vol.28

投稿日時:2010/12/01(水) 18:12

 吉報舞い込む!大体大とのシーソーゲームを制し、Bチームがジュニアリーグ初優勝を勝ち取ったのだ。Aチームへ勝利のバトンをつないだ。



<『スピリッツ』vol.28>
 

【勝利への執念】
 

序盤から互いの執念がぶつかり合う。FL和泉(社4)のトライで先制した関学は、さらに追加点を奪い、12―0とする。突き放したい関学であったが、大体大にトライを許し同点。試合は振り出しに戻るも、FWで陣地を広げ果敢に攻め入り、19-12で前半を折り返した。
 

 そして勝負が決まる後半。試合の激しさは一層増した。HO河合(社4)がモールから抜け出しトライを決め、26-19。だがここで暗雲が立ち込める。ディフェンスの間を抜かれ、2トライを奪われまさかの逆転を許す。スコアは26―31。だが絶対に譲れない勝利。勝ちたいという一心でモールを押し進める。敵陣に攻め入り、LO竹内(経4)がこん身のトライをねじこみ、同点に追いついた。コンバージョンキックが決まれば、勝ち越し。外れれば、引き分けとなり優勝は潰える。キッカーはSO安部(経2)。安部が蹴ったボールは大きな弧を描くもポールに弾かれる。だがレフリーからコールが入る。大体大がキック前に声を出したとし、もう一度チャンスが与えられたのだ。2度目はきっちり成功し、逆転に成功。そしてそのままノーサイドの笛が鳴った。ジュニアリーグで初の栄冠を手にしたのだ。


【勝利のバトン】


 Bチームとは言え、ジュニアリーグでは関学代表。見事、接戦をものにし、Aチームよりも一足先に栄冠をつかみ取った。試合をスタンドから見守っていた主将・緑川(商4)は「ぞくぞくしたね。戦ってる気持ちは一緒だったし、いい試合してくれた。勝ったことは大きい。僕らも後に続けるようにしたい」とコメント。Bチームがつなげてくれた勝利のバトン。天理大戦での勝利、そして関西3連覇へとつながっている。関学のジュニアリーグ、Aリーグ両制覇。偉業達成は天理大戦に掛かっている。絶対に勝つしかない。(記事=篠原沙耶)



<『スピリッツ』vol.28裏面>
 

【高みを目指し】
 

新チーム発足当初、「4年生は頼りない」。そう言われ続けてきた。そんな周囲の声に対し、「見返してやる」。と意気込んで、今年のチームは始動した。しかしやる気とは裏腹に、春夏に行った練習試合では勝てない試合が続いた。そこでチームは驕らず、「挑戦者の気持ち」でいることを意識。そうしたことが実を結ぶ。Bチームは優勝を狙える位置でジュニアリーグ最終節、大体大戦を迎えた。この試合で、関学が目指すものは創部初のジュニアリーグ優勝。また、この試合は関西リーグ戦、最終節の天理大戦に出られない4年生にとって最後の試合となる。「言葉に出さなくても同じプレーができる。安心感がある」。竹内(経4)がこう話す4年生主体のチームで試合に挑んだ。まずは試合開始早々、和泉(社4)がゴール手前モールから抜け出し先制トライ。「FWみんなが頑張った。(ボールを)置いただけです」と和泉は振り返る。このトライが関学に勢いをつけ、前半を7点リードで後半へ。

 

【4年生の意地】

 

試合終盤は両校一歩も引かず、シーソーゲームを展開。そして、残り5分を切ったところで、大体大にまさかの逆転を許してしまう。残り時間が少なくなったところで初めてリードを奪われた関学。不穏な空気が関学サイドに流れ始める。時間切れかと思われたとき、チームを救ったのはやはり4年生だった。泣いても笑ってもラストワンプレー、ゴール直前でマイボールラインアウトを獲得した関学。4年生5人を含むFWが必死に守る大体大に食らいつく。そして竹内が執念の同点トライ。「頭の中は真っ白。とりあえずトライするしかないと思った」。この竹内のトライにより、土壇場で相手に追いついた。そしてコンバージョンキックが成功し逆転するとともに、試合終了。試合終了の合図に、選手たちの目には涙が浮かんだ。「本当によく下支えしてくれてる。Aの試合に出れない4年生が頑張ってるから下級生も頑張れる。いいチームになった」と大崎監督。有終の美を飾り、関学ラグビー部に新たな歴史を刻んだ。
(記事=宮本直実)