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「新里組~Challenge~」

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『スピリッツ』vol.58(裏面)

投稿日時:2011/12/16(金) 17:35

<『スピリッツ』vol.58(裏面)>



【畑中康佑】
 朝日大の気迫に押され、なかなか得点を奪うことができずにいた関学。こう着状態が続いた序盤だったが、流れを変えたのはWTB畑中(商4)のトライだった。前半18分、敵陣22メートルラックからパスを展開する。そしてFB小樋山(人4)から畑中へボールが渡り、トライ。待望の先制点を挙げた。畑中にとって、公式戦初のスタメン出場となった。「4年間の思い、みんなの思い、リーグ戦WTBでずっと出ていた中井剛毅の思いを背負って戦った」。試合後そう語った畑中。胸に様々な思いを秘めて挑み、後半29分に金(総1)と交代するまで、攻守に渡り活躍を見せた。前半の最初と最後にトライを奪い、チームの勝利に貢献。選手権出場を決める重要な一戦で4年生の意地を見せつけた。

【小原渉】
 「久々のトライを決めることができ、嬉しかった」。そう話したのは前半中盤、相手のタックルをものともせずゴールラインにボールをねじ込んだ小原(人4)。この春、FWでもBKでもトライが奪えるチームを目指し、関学ラグビーの方向性は大きく変わった。なかなか完成形の見えない状態が続いたが、この試合で計7トライ。FW、BK共にトライを奪い大勝した。チームについて「成長している」と小原はこの結果に確かな手応えをつかんだ。
 新チーム発足時からの課題であったセットプレーも、毎日の朝練で対策を続けてきた。この試合で見せたスクラムの強さ、今までの積み重ねに自信を見せた。「シンプルに、そして確実に」そう話した小原のプレーはまさにこの言葉そのものだった。
 数日後に控える選手権大会。初戦の明大には2年前に29―62と大差で敗れている。当時途中出場で試合を経験した小原。前回とは違い今回はスタメンでの起用が予想される。それだけにリベンジに燃える思いは強い。「ディフェンスから試合の流れを作ってオフェンスで前へ前へとチームを引っ張りたい」と雪辱を誓った。

◆萩井HC インタビュー
 終始朝日大の気迫に押されっぱなしで、試合の中で修正するのには時間がかかってしまった。選手権を迎えるにあたって、いい勉強になった試合だと思う。最終スコアだけ見れば充分な結果ではあるが、差し込まれた場面も多く内容は決して満足できるものではなかった。明大戦ではまずはセットプレーをしっかりと安定させ、試合の入りでペースをつかんでいきたい。
 

『スピリッツ』vol.58

投稿日時:2011/12/14(水) 11:38

 関学は選手権出場権を懸け、東海・北陸・中国・四国代表の朝日大と対戦した。序盤、自陣深くまで攻め込まれるも、粘りのディフェンスで凌ぎきる。そしてWTB畑中(商4)のトライで関学は流れをつかみ、相手を圧倒。朝日大を完封に抑え48―0で勝利し、選手権出場を決めた。




【完封での白星】
 リーグ戦を3勝4敗で終えた関学は、選手権出場を懸け、朝日大と対戦した。「僕たちの選手権は他の大学よりも1週間早く始まった。一回戦だと思って挑んだ」と、FL小原(人4)。だが序盤はミスが重なり、朝日大ペースで試合が進む。自陣深くまで攻め込まれるも、関学は粘り強いディフェンスでゴールラインを割らせない。前半20分、関学は攻撃を仕掛け、ラックから左へと展開。SO安部(経3)、FB小樋山(人4)、へとパスを回し、最後にボールを受けたWTB畑中(商4)がトライをねじこんだ。関学はこの先制トライで流れを引き寄せた。積極的にパスを回し、敵陣へ。着々と得点を重ね、21―0で前半を折り返した。
 「もっとシンプルに攻めよう」。ハーフタイム、互いに声を掛け合い、チームを鼓舞した。後半開始直後、小原がスクラムから持ち出し、追加点を挙げる。後半は終始関学ペースで試合が動いた。試合終了間際、安部からパスを受けたCTB新里(社4)が、相手ディフェンスを振り切り、ゴールラインを割った。主将の執念のトライで48―0とし、ノーサイド。朝日大を下し選手権出場権を獲得した。

【全国の舞台へ】
 全国の舞台へと駒を進めた関学。「ここから、今日よりももっと厳しい試合になる。一戦一戦、ワンプレーにかける気持ちを大切に、全員で気持ちをひとつに戦っていきたい」と主将・新里。関学はついに、関東勢と相まみえる。ブレイクダウンでいかに対抗できるかが鍵を握る。真の戦いが幕を開ける。

『スピリッツ』vol.57

投稿日時:2011/12/07(水) 15:49

 前節でリーグ戦優勝を決めた天理大との最終戦。粘りのディフェンスで、前半を13―22で折り返した関学だったが、後半に入ると流れは徐々に天理大に傾く。立て続けにトライを許し、20―43で敗北を喫した。この結果関学はリーグ戦を5位で終え、10日に行われる関西第5代表決定戦に挑む。


 
【最終戦】
 小雨が降る中、天理大のキックオフで試合は始まった。開始早々、敵陣22㍍付近ラインアウトからテンポよくパスを回し、相手の反則を誘発。前半3分、PGで先制点を挙げる。だが直後に自陣でのノッコンからボールを拾われ、天理大に得点を許してしまう。その後天理大の素早い攻撃に翻弄(ほんろう)され、立て続けに3トライを奪われる。何とか追い付きたい関学だったが、天理大の堅いディフェンスに苦戦。それでも前半30分、関学にチャンスが訪れる。ゴール前ラックからSO安部(経3)へボールが渡り、短いキックをインゴールへ蹴りこむ。そのままインゴールでボールを押さえ得点を追加。勢いある天理大BK陣の攻撃を粘りのディフェンスで9点差に押さえ、13―22で前半を折り返す。
 後半、逆転を狙った関学だったが、流れをつかんだのは天理大だった。後半開始直後、ハーフウェイ付近からパスを展開され追加点を許す。その後も天理大の勢いは止まらず、関学は自陣でプレーする時間が続く。ゴールラインに迫る場面も見られたが、要所でのミスが目立ちトライに結びつけることはできず。試合終了間際にWTB松延(商3)が執念のトライを叩き込むも、20―43で敗北を喫した。
 
【次戦へ】
 3勝4敗でリーグ戦5位に終わった関学。選手権への出場権を懸け、東海・北陸・中国・四国代表である朝日大との対戦が決まった。「厳しい試合が続くと思うが、後悔を残さないように自分たちのラグビーでやり切りたい」と主将・新里(社4)。朱紺の闘士たちの新たな闘いが始まる。

『スピリッツ』vol.56(裏面)

投稿日時:2011/11/29(火) 15:17

 9月末に開幕したリーグ戦もついに最終戦を迎える。関学はなかなか思うような結果を出せていない。最終戦の相手は、全勝中の強豪・天理大。リーグ戦の集大成を見せるべく、再び立ち上がる。


<『スピリッツ』vol.56(裏面)>


【怒涛の6戦】
 「BK、FW一体となったラグビーを」。「Challenge」をスローガンに掲げ、ボールを動かす展開ラグビーを徹底してきた。春シーズン、そして夏合宿を経て、新里組はリーグ戦を迎えた。
 初戦・立命大戦では、「勝ちたい」という気持ちばかりが先走り、固さからミスを重ね12―26で敗北。まさかの黒星スタートとなった。だがこの敗戦から「チャレンジ」の意味を再び思い返す。自分たちのラグビーをすることに徹し、2連勝を挙げる。
 そして第4節・同大戦。前半を17―29で折り返すも、関学は後半で一気に反撃を見せる。31―32と1点差にまで詰め寄り、後半ロスタイムで関学はPGを選択し、逆転のチャンス。だが空しくもボールはバーを越えず、同大に1点差で敗北を喫した。「この負けを意味のあるものにするかどうかは、自分たち次第」とFB小樋山(人3)。選手たちは気持ちを切り替え臨んだ近大戦ではBKの活躍が光り、35―7と勝利した。 大雨が降りしきる中行われた、大体大戦。前半は3-3とロースコアとなるも、後半に入り、関学はハンドリングエラーを重ね、流れは大体大へと傾く。トライを狙った関学だったが、相手の堅いディフェンスに苦戦。逆に大体大に攻めこまれ、8―14で痛恨の黒星を喫した。

【チャレンジ】
 3勝3敗で迎える最終戦。12月3日、関学は全勝中の天理大と対戦する。「天理大は今、関西で一番強い。チャレンジする絶好の相手」とCTB春山(文3)。春から積み上げてきたもの、そしてチーム力を見せるチャンスに、再び彼らは闘志を燃やす。

「影の功労者」―最大限の献身

投稿日時:2011/11/26(土) 13:20

 関学ラグビー部の活躍を影で支えているスタッフ陣。中でも選手に直接携わるトレーナーとしてチームに貢献している、女性トレーナー2人。2人の熱き思いに迫る。
 


―ラグビー部への入部のきっかけは
伊藤「高校時代、ラグビー部のマネージャーをしていました。高校に入学するまでは、全然ラグビーについて知らなくて。体験入部で部活を見に行ったとき、全員の真ん中で話をする監督を見て、こんな人の下で働きたいって思ったのがきっかけですね」
竹中「私は小学校ではラグビーをやっていて、中学ではコーチをしていました。中3のとき、同期の引退試合を見に行ったとき「花園でまた会おう」って言っている友達を見て、その場に自分がいないことがすごく悔しくて…。そのとき、名門校のマネージャーをしようって決めました」
 
―高校と大学のトレーナーの違いは
伊藤
「選手が花園出場経験者とか、一流に近い選手が多くて。信頼してもらわないといけないし、そんな選手たちのお世話をするので、責任感は感じますね」
竹中「監督の存在もあると思います。高校のときは監督がいて、そのサポートをするっていう部分もありました」
伊藤「大学では自分たちの判断で動かないといけなくて、いい緊張感があるよね、やりたいことができる分」
竹中「私たちの代は「トレーナー元年」って言われていて、1年の時は雑用って感じだったけど、2年生からメディカル班とフィジカル班に分かれて。3年生から代表に分かれて、形にしていこうって考えていました」
 
―今ではトレーナーの後輩も増え、スタッフも大きな集団になってきたのでは
伊藤
「勝つことって本当に影響力があるんだなって感じましたね。歴史を作ってくれた先輩に感謝ですね。」
竹中「本当にいい思いをさせてもらいました。うちら同期3人は我が強いし、負けず嫌いやし、お互いライバル視してたしね(笑)。今は「チームを支えるスタッフも一丸じゃないと」っていう気持ちもありますし。トレーナーができてまだ4年目ってことは、土台が少しできたくらいで完成じゃないし、まだまだいい意味で変われると思います。」
伊藤「トレーナーの存在が認められてきた分、期待値も上がっているし、求められているものもある。後輩たちにもたくさん提案して欲しいし、貪欲になって欲しいと思います。」


 
―では具体的な仕事を教えてください
竹中
「私はリハビリですね。怪我をしている人の復帰までの処置をしています。メニューやトレーニング、テーピングとか。復帰までの準備のお手伝いですね。ラグビーに怪我はつきもので、怪我をしない体を作ることが大事。その上で怪我をしてしまったときは、怪我をして離れている期間を客観的に自分やチームを見つめ直す期間として、精神的にも肉体的にもいい状態で復帰してもらえるように、サポートすることを意識しています。怪我をしたことをマイナスにだけ捉えるのではなく、怪我から学ぶこともある、怪我したことが無駄じゃなかったって思ってもらいたいですね」
伊藤「私は栄養面を中心に。合宿の食事や、試合前後の補食、平日の朝食とか。常に何かできることがないか考えるようにはしています。合宿の食事では、チームの事情と宿舎とを考慮しつつ、スケジュールも加味して最高の食事を、と考えました。試合が連日続くし「変に体重を増やさないこと、けがをしないこと」を意識しながら、雰囲気作りも大事にするようにしていました。また食事の面では、保護者の方々の熱意に恵まれ、たくさん協力していただきました。影ですごく支えていただいて、チームの一員と言っても過言ではないと思います」
 
―フィールドでのお仕事は
伊藤
「メディカルサポーターです。リーグ戦では赤いゼッケンを着て、試合中にプレーが切れていなくても、フィールドに入れる16人目の選手。応急処置も含め、コーチとフィールドの選手とをつなぐパイプ役って感じですかね。プロのトレーナーの方もいるんですけど、関学は学生主体のチームということで、私たちも学生トレーナーでやるっていう強い希望を持ってやらせてもらっています」
 
―試合中、フィールドに立つとき、緊張はしますか
伊藤「いざ試合になると緊張はしないですね。毎日みんなを見ているし、みんなと同じように自分なりに準備はしているつもりなので」
竹中「信頼して見れるからっていうのもあるよね」
伊藤「それもある。お互いの信頼関係があって、迷いがないって感じだよね」
竹中「日々、小さいコミュニケーションの積み重ねだから、相手も自分も安心できる」
伊藤「それが唯一、学生トレーナーの私たちにしかできないことだと思うんです。知識では劣っても、可能な限り近くに長くいられるのは私たちだしね」
 


―4回生としてスタッフでも中心に立つようになったと思いますが、なにか変化は
伊藤「仕事に対してというか、トレーナー全体、チーム全体を考えるようになりましたね。トレーナーもチームとしてひっぱらなあかんと思うし。4年生になって付いた新しい視点かな。話し合うことも増えたし、それぞれが「こうした方がいい」って考えるようになりました」
竹中「私もチームに対する目線が増えたと思います。自己満足じゃあかんし、どんなに良いことしても続かないと意味がないと思う。やりたいだけじゃ意味ないしね」
伊藤「チームが長期的に勝っていけるチームを目指しているから、スタッフもいい組織作りをしていけるように、目線をシフトしました」
 
―印象に残っている出来事はありますか
伊藤
「2年生の時のジュニアの試合で、選手が倒れて関学のペナルティになって、処置している間にトライされてしまったこと。このことから、フィールドに入るタイミング、レフリーの位置、展開を意識するようになりましたね。レフリーを止める権限を持っている分、責任を持って臨むように心がけています。どんなシチュエーションでも経験だから、いかに冷静でいられるかを意識して、一番に冷静になって周りに指示を出せるように。その点では4年生になってだいぶ落ち着きは感じるようになりました」
竹中「2年生の夏合宿でのテーピングです。不安な感じで、確認しながらのテーピングをしてしまったことです。トレーナーって1対1で関わって、その場で判断されて、直接評価されるから。言葉使いやタイミングとかが、メディカルに就いても信頼関係に関わってくるから、緊張感を持って日ごろの練習から関わるようにしています」
 
―トレーナーの仕事のやりがいとは
竹中
「みんなが満足している姿を見ることです。そのためにもラグビーに集中できてやりやすい環境を作っていかないと、と思っています」
伊藤「やっぱり試合で実力を発揮して、結果を残してくれることですかね。」
竹中「私たちには答えがないと思うから…。選手が結果を出してくれることが答えになるよね。その意味ではジュニア優勝はうれしかったです。」
伊藤「いいパフォーマンスをしてくれましたね。スケジュール調整や管理が間違ってなかったんだなって」
竹中「自分たちいいと思っている事だったとしてもチームのために繋がってないと全然意味ないですよね」


 
―モチベーションを保つには
伊藤
「試合だけじゃなく日々のコミュニケーションの積み重ねを大事にしています。試合だけじゃ信頼関係は築けないので。それで選手が自分のことを話してくれたり、選手のちょっと変化に気づけた時とかモチベーションにつながるかな」
竹中「普段から接することのできる学生トレーナーだからこそ、気づくことができるんだと思いますね。でもやっぱり選手から直接的にモチベーションもらっています」
伊藤「もし気持ちが沈んでいても、グラウンド行くことで元気もらえるね」
竹中「試合で選手たちが体を張って頑張っているのを見るのもうれしいし楽しい。私たちが直接チームを勝たせることはできない。だからチームを背負って戦う選手は本当に尊敬しているし、だからこそサポートしたいって思える。それがモチベーションにもなっています」
 
-試合前、試合中はどんなことを考えていますか
伊藤
「言い聞かせているところもあるんですけど…。「何かあったら守ったる!思いっきりやってきて!」。そう思ってやっています」
竹中「私たちが大丈夫って言ったら大丈夫と思われるようにしようと。諦めさせることは簡単なので、選手を励ますことができたら最高ですね。試合はとにかく楽しむ!「何があってもALL OUTしておいで」って思います。スタッフを信じて全力を出し切れるように、選手のモチベーションを上げていくことも私たちの役割だと思うので、気に掛けています」
伊藤「愛さん(西嶋愛=商卒)から心構えを学びましたね。愛さんはメディカルサポーターの鏡みたいな存在。2年生の時、愛さんの姿を見ていて、こんなメディカルサポーターにならないとって思いました」
竹中「「メディカルに同じ場面は二度とない」ってことを教えてもらって、それから自分の中で引き出しをたくさん持っておくことが大事だと思いました。なので、自分がしていないときでも他の人を見たりして、自分だったらどうするかとか考えたりしています。日々勉強ですね。」
 
-今年のチームについて
竹中
「(新里)涼くんは人望が厚いよね。周りからの信頼がすごい」
伊藤「何にでもまじめで誠実。涼くんのひたむきな姿がみんなに自分を見つめ直すきっかけを与えてくれるんじゃないかな」
竹中「涼さんのために…。っていうのがチームの原動力になっていると思います」


 
-残りの試合もあとわずかですが
伊藤
「チャレンジ。最後まで挑戦し続けることですね。栄養に関しても最後まで改善して、求められるものを追求していきたいです。守りに入らず、挑み続けて走り続けていきたい」
竹中「やるしかないです。あとはないですからね。目の前のことを一生懸命やりたいです。信じてやるしかないですね」
 
-選手たちへ
伊藤
「難しいですね…。頑張ってねって言うよりも自分たちも一緒に楽しんで、一緒に戦っているって感じなので。特にないかな…」
竹中「「思い切ってやってこいよ!何かあったらどうにかしたる!」って、頑張れっていうよりも一緒に行こかって感じです」
 
-最後にお二人にとってラグビーとは
伊藤
「なくなることが考えられない…。きってもきれないもの、ですかね」
竹中「自分を変えてくれたもの、です。私の考え方はラグビーからできていると言っても過言じゃないですからね」
 
■伊藤有紀(いとう・ゆき)/人4/明和/168㌢/料理
■竹中梨絵(たけなか・りえ)/人4/大工大/155㌢/写真撮影
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