「新里組~Challenge~」
ラストインタビュー 新里涼
投稿日時:2012/03/17(土) 12:00
―引退してからどうされていますか
小学校からラグビーばっかりの生活をしてきたんで、何したらいいんやろって(笑)。こんなにも自由な時間っていうのは一生で最後やと思うから今までの分も遊んだりしてます。4月から警察学校に行くのでそれに向けて走ったり筋トレをして、なまり切らないようにしています。
―練習の方に顔を出したりは
グラウンドには一回も行ってないです。気にはなっているんですけどね…。
―現役時代のことを思い出したりすることは
もっと頑張れたんじゃないかって後悔はあります。ラストは肉体的にも精神的にもきつい一年やったんですけど、同期が支えてくれてみんながいたから頑張れました。仲間の大切さを実感しました。
―最後の明大戦のビデオは見られましたか
まだ見てないですね。見たいなと思ってから見ようと思ってます。
―選手権大会の決勝戦は見られましたか
見ました。すごく悔しかったです。自分たちもあそこで戦うことを目標にしてたんで、うらやましくもあり悔しかったです。
―新チーム始動時はどのようなことを考えていましたか
とりあえずチームを強くしようと思いました。ラグビーだけじゃなくいろんな面ですばらしいチームを目指しました。同期の助けもありましたけど、今考えたらよくやってこれたなと思います。立候補で主将になったんですけど、自分がチームを引っ張るのかと思うと不安もありましたね。
―今年は昨年のスタイルから大きくチェンジしました
4年生数人と萩井コーチと話し合いをして、何か変えないとあかんってなって展開のラグビーを目指すということになりました。結果に対する不安よりも、「こんなラグビーがしたい」って気持ちで楽しみでしたね。中学・高校時代はラグビーや戦術についてそれほど深く考えてこなかったんですが、最後の一年はラグビーについて考える時間が本当に多くて、大変でしたが楽しかったです。

―成長を感じ始めたのはいつごろですか
夏合宿あたりからかな。自分たちはそれほど分からなかったけど、コーチ陣とか外から見ていた人から「春にパスやっててよかったな」ってことを言われました。特に筑波大戦は良かったと思いますね。内容的には東海大戦以外は良かったんじゃないかな。最後の早稲田戦は全チーム勝って終われましたし。意思統一を図ることができました。
―ジュニアチームの活躍について
昨年からBチームはずっと強くて。Aチームにとって、毎日強いBチームとできるのは良いことだと思うし、両チームがお互い切磋琢磨していい相乗効果ができてるんじゃないかな。
―チームを統一するために行ってきたことはありますか
下の学年の中心選手を4年生ミーティングに参加させたり、少しでも不満が解消されるようにして、練習の意図や方向性を伝えて学年を越えての意思統一をしました。4年生だけが団結していてもダメやと思ってて、できるだけ下との温度差をなくせるように心がけました。そういった点でも、春は戸惑いもあって最後の方に少し崩れてしまったけど、夏合宿で意思統一できて持ち直しましたね。
―リーグ戦を振り返っていただけますか
去年と違うラグビーをってことで結果はあまり気にしていませんでした。でもやっぱり心の中で勝たなあかんって思ってしまって、それが変なプレッシャーになって立命大戦では出てしまいました。立命大戦後に話し合って、今年やってきたことを出し切ろうっていうことを再確認しました。毎試合ごとに修正点を話し合って練習で克服していって、成長している感覚はありましたね。大体大戦では大雨でボール動かせずにミスしたり、FWのプレッシャーに負けたり、体大のイメージ通りに進んでしまいました。毎試合課題を克服して臨んでいたんですけど、同大戦にしても大体大戦にしても、敗因はいつも似ててミスが多くて。それでも勝ちきれなかったのはやっぱり力の差があったんだと思います。
―リーグ戦5位という結果について
今年スタイルを変えたっていうことは絶対に言い訳にしたくなくて。結果が出せなかったことに関して先輩方には申し訳ない気持ちはあって、期待に応えられなかったことは残念なんですけど、今年やってきたことには後悔していないです。
―結果を気にせずに新しいスタイルにこだわり続けた理由は
入学してからずっとFW中心のチームで。ここ2年は特に、FWでゴールまでいってトライとるっていうスタイルでした。関西の中ではこれで勝負できても、全国にいくとFWもBKも強くて。FWでつぶされたら、BKでは太刀打ちできないって思ったんです。FW中心のチームではベスト8の壁に阻まれてしまうので、FWも強化するのと同時にBKも強化しないとって。キックだけに頼らず、どこからでもつないでアタックできるように、継続と展開力をテーマに切り替えましたね。
―正直、軸がぶれそうになったことは
…ちょっとありました。立命大戦では自分たちのラグビーができず、同大、体大にも負けたときに、いろんな周りの声も聞こえてきて。「本当にこのままいくんか」っていう声もあって迷いがなかったって言ったら嘘になるけど、今年決めたことやし。勝ちたいっていう気持ちはもちろんあったけど、自分たちのラグビーを試したいし、今年のラグビーで勝ちたいっていう気持ちの方がありました。負けたらそれは自分らの力不足なので。力出さずに負けたら、後悔しか残らないですしね。

―選手権初戦の相手は明大でした
2年前、小原さんたちの代で負けたんですけど、今年は今年だからって。気負いはしませんでしたし、自分たちが決めたラグビーを思いっきりやって楽しもうっていう気持ちが強かったですね。
―終わった瞬間のことは
実は、試合終了5分前くらいからチラチラ時計が気になってて。「このメンバーでできるのも後これだけか」って。終わった瞬間は何も考えられなかったです
―ラストイヤーのプレーは
思うようにプレーできなくて自分に腹立つこともありました。もっとキャプテンとして体はったプレーができたら、っていうのは引退してから思いましたね。Aチームで出て誰よりも体を張ったプレーでチームを引っ張らないといけなかったのに、できなかったのも自分の実力で。Aで出れない分、渉(前副将=小原)がチームを引っ張ってくれました。プレーでも毎試合毎試合引っ張ってくれて、心強かったです。申し訳ない気持ち半分、感謝の気持ちでいっぱいですね。
―主務の松村さんもパートナーとして
本当に大変そうでしたけど、スタッフ陣がいなかったらチームは成り立たないし、運営もうまくいかない。スタッフには本当に感謝しています。毎日練習後にミーティングしている姿を見て、選手もがんばらないとなって思いましたね。
―思い描いていたリーダー像は
特になかったですね。キャプテンの先輩たちはリーダーシップがある人ばっかりだったけど、それをマネするんじゃなくって、自分らしくやろうって。1人1人それぞれカラーがあると思うし、自分らしくやっていこうって思っていましたね。
―では新里さんのカラーは
・・・まじめさですね。
―新里組のチームのカラーは
上下関係がなくて、学年の壁を越えたつながりがあることですかね。4年生が優しすぎるっていうのもあるんですけど、その分下から意見を言ってくれることも多かった。それを参考にしながら進めたり、やりやすかったです。
―やりがいを感じたときはどんな時ですか
自分が出ている、出ていないにかかわらず、勝ったときはうれしかったですね。
―大変だったことは
たくさんあるけど・・・僕、考えすぎる癖があって…。そこまで深く考えなくてもいいことでも、ほぼ毎日あたまにひっかかることがあったり、考えすぎてしまうこともありましたね。試合に出られなかった時期もあって、「自分が本当に主将なのか」って考え込んでしまうこともありました。でも出てなくてもチームが勝てればそれでいいなって思いました。
―関学ラグビー部で得たものは
仲間の大切さですね。小学校の頃からずっとラグビーをしてきたけど、周りとのつながりが大事ってよく言われてきたけど、今まではそんなに感じることはなくて。特に今年1年は、仲間に支えられて頑張れたってすごく感じましたね。本当に仲間の大切さを学びました。

―横断幕に「協心」という言葉を書いていましたが
高校生の部活の時の合言葉のひとつで。心をひとつにして戦っていくっていう意味で。今年、チームが始まるときに、チーム全員心ひとつにして戦っていきたいって思いました。
―Challengeというスローガンについては
Changeっていう言葉も含んでいたんですけど・・・まだまだですね。チームの規律、風紀をもっと大事にしていきたいと思っていたんですけど・・・まだまだ甘い部分があると思います。
―後輩への期待は
去年からスタイルを変えたんですけど、それをこれからの関学のスタイルにしていって欲しいですね。なおかつ、今年は結果も残して欲しいです。去年から良いメンバーも残っているし、今年は期待しています。
―4年間を振り返って
長かったですね。高校の時と比べると、毎日授業して部活して帰って寝て、の繰り返しで。大学に入って自由な時間も増えて、その分長いって感じました。
―関学ラグビー部での生活はいかがでしたか
学校生活のほとんどラグビーでしたね。毎日ずっとラグビー部の友達といました。本当に関西の中でも一番良いチームだと思います。
―同期に伝えたいことは
とりあえずみんなに「ありがとう」と言いたいですね。頼りないキャプテンやったと思うけど、支えてくれて頑張れたのはみんなのおかげ。本当にありがとうって伝えたいです。これから一生大切にしていきた仲間です。
■新里涼(しんさと・りょう)/2011年度ラグビー部主将/大工大高/173㌢・82㌔/旅