「小原組~ALL OUT~」
インタビュー『出陣の刻、来たる』
投稿日時:2009/09/11(金) 18:13
夏が過ぎた。否応がなしにリーグ戦のことが頭をよぎる季節になった。戦いを前に、チームを引っ張り続けた男たちはいま、何を思うのか―。
主将・小原正(社4)、副将・片岡将(総4)の独占告白。
―8月から夏シーズンが始まって、約1ヶ月半。ラグビーづけだった?
小原(以下O)「ずっとやね」
片岡(以下K)「オフあったとしても、ラグビー中心に」
―8月上旬の一次合宿はどのような感じで
O「菅平合宿にむけての準備」
K「体当てて、部内マッチはさみながら」
―そして菅平合宿をむかえた
O「関東の強豪とやれて、いい経験に。東海、帝京と負けはしたけど、落ち込むようなものではなくて」
K「自分はA、B両方で。外から見てても、(関東勢に抱く印象が)2、3年生のときと違うなって。今年は本気でみんなやったら差が縮まるんちゃうかなって。東海や帝京と戦って、それぞれが自分に足りないもの、やらなあかんことが明確になった」
O「たしかに。今までの合宿と違うかった。結果は負けとんねんけど…もちろん楽観視じゃなくて。(菅平合宿は)チームを作っていって、戦えるようにしていく場。今からやね」
―それらの試合を通じて、肌で感じた関東の大学との違いとは
O「テンポ」
K「うん、テンポやね」
O「あと、裏でつなぐ意識。慶應戦でも感じたんやけど、何とかゲインラインを超えようとしてくる」
―上半期を過ごして、チームにとって夏はフィットネスの克服が課題でした。その点では
O「だいぶ。暑さには弱いんやけど…体作っていけてるし。春は太ってて走れんかったけど、体のデカさがあったから関東とはれたと思う。これから昇り調子になるんじゃないかと」
K「関東の大学と違って、ウチは元々体が出来てるチームと違うから、どうしてもリスク犯さなあかん。今年はこういう形でやってきて、リーグで結果出せたら良いなと。去年と同じでも良かったけど、それじゃ日本一なれない。何か変えないと」
昨年の関西制覇により、チームにもたらされたのは、変革だ。それは、そこからさらに上を目指すために必要なもの。だが、そこにはリスクがつきまとう。
その最も難しい1年を小原組は託された。そして、ついにリーグ戦をむかえようとしている。
―リーグ戦を直前にして、いまの心境を
O「もう周りに話したりするときは、心臓バクバク。初戦とかむかえるときは、中・高もずっとオレ、バクバクで。摂南戦のこと考えたら、ドキドキする」
K「いま自分はBチームにいて、悔しい思いもある。4回生がBKに少ないから、バラちゃんを中心としたFWを見てたら、自分も中心で頑張らなって。Aに返り咲いて、バラオのサポートして、Aを強くして。リーグ、選手権では入れ替えが激しいから、最後まであきらめずにファーストジャージを狙っていきたい」
―ラストシーズンという思いは強い?
O「これだけガチでラグビーやるのも最後や思うし。結果でしか見えんものかもしれんけど、その集大成を。日本一目指してやっていきたいなと。ひとりじゃ出来ないから、感謝、感謝で。やるしかないっしょって感じで」
―むかえるリーグ戦は、日程間隔が数週間あるなどの変則的で、加えて場所がアウェーな印象がある
O「アウェーは仕方がない。そのために遠征とか行かせてもらった。それに選ばれた22人に、去年みたいに残りの部員が熱い応援してくれたら、アウェーもホームに変わる。
日程は試合感覚がにぶるのもあるかもしれんけど、チーム力を上げるチャンスやと思って。プラス思考でやっていきたい」
―例年と違って、下位校からの対戦カードになる。王者としてのプレッシャーや、違ってくる面は出てくる?
K「自分らが関西王者やったっけ、って感じあるから。去年は去年、今年は今年やし。まわりは、王者ってかかって来るけど、自分らはチャレンジャー。チャレンジャー同士の戦いになる」
―開幕カードは、摂南大(昨年リーグ5位)。どんな印象を
O「春やれんかったけんね、相当強いやろうから。のればムチャクチャ強いし、びびったら負け。前で止めて、止めて、止めて、がまん。相手の心折るぐらいに、ひたむきに頑張っていきたい」
―ジュニアも摂南大が初戦
K「全力でプレーして、Aチームに上がりたい気持ちを100パーセント出したら、結果も出てくる。ジュニアの子らは、Bチームの完成度とか聞いてくるけど、Aに上がるためにプレーすることが大事」
―春先では、国立に行けるラグビーは見えてる、と話していた。リーグを前に、今年の関学ラグビーのかたち、完成度について聞きたい。もちろん話せる範囲で
O「完成度はまだまだ。精度悪いし…全然やね。けどFWはいいもの掴んできている。早稲田との合同練習もあって」
K「声とか、元気とか出してね。一試合、一試合ALL-OUTするだけ」
―現役生活も残り数ヶ月。関学ラグビー部員として思うことは
O「最後の何ヶ月間はラグビーに賭けたい」
K「日本一のチームにしたいんやったら、日本一のウイングに。個人として、そこを目指さないと。引退する最後の最後まで、ALL-OUTして。口で言うほど簡単じゃないけど(笑)」
―では最後に。関学ラグビー部のファンにコメントを
O「いい結果残して、喜んでもらえるよう頑張りたい。絶対おごらず、ひたむきなのが関学。そのプレーを!」
K「まずAのファーストジャージでアグレッシブな姿勢を。そして『勇気と感動を与えるプレー』っていう言葉が好きやから、それが出来たらいいかなって。頑張るんで、去年以上の応援をお願いします!」
各々の胸中に、各々の決意がある。それは何よりも固く、そして支柱として彼らに宿る。残すところ数ヶ月、日本一にむかって全力でプレーするふたりの姿に、見るものは感動を覚えることだろう。
■小原正(おばら ただし)/社会学部4年生/東筑高校/LO/182㌢、111㌔/今年度、ラグビー部主将。闘志あふれるプレーとかけ声で、チームを奮い立たせる。
■片岡将(かたおか しょう)/総合政策学部4回生/香川県立高松北高校/WTB/174㌢、89㌔/今年度、ラグビー部副将。関学屈指のパワータイプのウィンガーとして、トライを狙う。
(取材:9月10日/関学構内プラザにて)