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「新里組~Challenge~」

『スピリッツ』vol.44

投稿日時:2011/05/19(木) 22:36

 新里組、大金星!関学は31―22で慶應大を下した。だが成果が見えたところもあれば、課題が残る場面も。すべては秋シーズンで勝利するために―。この大勝は、今後のシーズンに向け、大きな一歩となった。
 


 
【不安と闘志】
京産大、天理大に敗北を喫した関学。試合前、彼らの中には不安もあった。だが「自分たちのプレーを貫こう。やり通すためにも勝とう」。フィールドに立った彼らには、熱い闘志がみなぎっていた。そしてその思いが結実したのだ。
 
【待望の白星】
 先制点を挙げたのは関学だった。開始早々、ラックから抜け出した、ナンバー8・小原(人4)がトライ。観客は湧き上がり、関学は勢いづいた。BKを起点にボールを回し、外へと展開。そして小原が豪快にゴールラインを割り、2本目となるトライをねじ込んだ。その後、慶應大に1トライを許すも、12―5で前半を折り返した。
 後半、序盤からミスを連発し流れは慶應大に。2トライを奪われ、12―15と逆転を許した。それでも関学は気持ちを切らすことなく、果敢に攻撃を仕掛けた。そして後半23分、CTB・村本(文4)が相手ディフェンスを交わし、走り込みトライ。19―15と逆転に成功した。その後も関学は懸命なタックルで、攻め続けた。キックを使わずに、積極的にパスを回し敵陣へ。リザーブで投入された松延(商3)が22メートルラインから相手を振り切り、右隅にこん身のトライをねじ込んだ。流れに乗った関学は果敢にパスを回し、左へ展開。CTB・新里(社4)からパスを受けた安田(人3)がトライを奪い、31―15と相手を突き放した。
 だが終了間際、自陣でのBKのミスからボールを奪われ、そのままトライを許し、ノーサイド。31―22で慶應大から白星を挙げた。
 
【成長の糧に】
 ついに手にした白星。それは慶應大から奪った大金星だった。「自分たちのプレーを貫けたことが結果につながった。勝てたことは大きい。チームとしての成長はある。でも最後にトライを取られたことは心残りです」と主将・新里。成果は出つつあるが、まだ完全ではない。勝って兜(かぶと)の緒を締めよ―。「勝てたことに満足せず、初心に返るように」。彼らはおごることなく、再び闘志を燃やす。
 慶應大に勝利したのは、関学ラグビー部の歴史上、初めてのこと。歴史をも塗り替えた、新里組のチャレンジ。すべては冬、国立の舞台に立つため。これはまだ、序章に過ぎないのだ。
(文=篠原沙耶)