「緑川組~MOVE~」
『スピリッツ』vol.17
投稿日時:2010/09/06(月) 02:00
〝らしさ〟全開だ!リーグ戦を前に最後の大学同士の試合となった青学大との定期戦。FB渕本伸二郎(社4)が走っては自らトライ、蹴ってはコンバージョンをすべて成功させる大活躍を見せた。その躍動ぶり、リーグ戦でも見せてくれ!

気合いが違った。チームは夏の間、勝ち星に恵まれなかった。リーグ戦をひかえ、大学生同士の試合としては、この日が最後。「勝って勢いつけたかった」。自身の意気込みに応えるように、渕本の調子も上がっていた。
そうして立ったフィールドでは、これまで以上の躍動ぶりを見せる。前半にはゲインするWTB吉原(人2)に併走し、最後パスをもらうとそのままゴールラインへ駆け抜け、チーム一発目のトライをゲット。自らの得点で反撃の狼煙(のろし)をあげると、後半はゴールシーンの演出家に。パントで敵陣深くへボールを送りこむと、そこからチームは攻撃を展開する。同点となった得点シーンではWTB松野尾(社4)へのアシスト、勝ち越しの場面も基点となったのは渕本お得意の「裏パン」だった。かねてより「アタック好き」を公言する男が、攻撃面でそのプレースタイルを全開させた。くわえて任されたコンバージョンキックも7本すべてを成功させ、まさに絶好調。「自分はキックを決めて、チームを安心させてやろうと」の台詞にはまわりもニヤリ。走らせても蹴らせてもそしてしゃべらせても、波に乗ったこの男は手がつけられない。
【スタンド能力】
昨シーズンからFBとしての出場機会も増えた。本人は本来のSOのポジションにこだわりを見せるが「出れるならどこでも」。むしろFBながら、要所ではSOとしてプレーすることもある。この日も後半の「大事な部分では」本職に就いた。熊野BKコーチに買われている〝スタンド能力〟は、ポジションに関係なく発揮されそうだ。
チームに久々の勝利をもたらした渕本。リーグ戦でもゲームを作るのは、この男だ。
入部してから常に優勝を目標においている渕本。ラグビー部ホームページでも毎年記され、3年前は「関西制覇」、翌年は「V2」そして今年は「V3」となっている。高校時代、花園の決勝まで進んだものの栄光を逃した苦い記憶が渕本をかきたてる。3年前の天理大との大一番の前には「関西制覇するしかないっスね!」と意気揚々とふるまっていた。
ラストイヤーの意気込みを、当然のように「関西3連覇して、日本一目指して」と語った渕本。栄光の立役者になれるか。
(記事/写真=朱紺番 坂口功将)