「緑川組~MOVE~」
『スピリッツ短信』08/06
投稿日時:2010/08/06(金) 12:24
突然の知らせだった。チームはオフ期間中で、部員たちは期末試験など勉学に励んでいたところだった。そこへ日本協会からの通達が来た。
今回関学から選ばれたのは丸山、古橋、湯浅の3人。これまでも候補に選ばれた過去がある。が、「3人とも候補止まり。40人まではいけても、それ以上には選ばれず」と古橋。サクラのジャージにはあと少しで届かなかったようだ。そうして大学生になり、この度召集がかかった。
3人とも春のオープン戦ではAチーム入りを果たした。湯浅は「春シーズンはたいしたプレーできなかったんで、考えてもいなかった」と話すが、1年生ながら存在感を光らせていた。若き戦力が評価されるのはチームにとっても嬉しいニュースだ。
それでも「チームの方が大事っていうのがあって…もっとレベルの高いとこで。まずはチームで試合に出たいスね」と丸山が語ると、湯浅も「そんなに…。個人的な向上よりも、チームで勝ちたい。所属してるチームでやりたい」とぽろり。上半期を戦いぬき、1次合宿、菅平合宿と夏シーズン突入のこのタイミング。関学全体の勢いが増すなかで、チームを離れたくないのが偽らざる本音だろう。一方で古橋は「春山さんとかも副キャプテンで活躍してたんで、少し意識してる部分はありました」と意気込みを見せる。
代表候補召集への思いはそれぞれだが、共通する部分がある。それは『関学から選ばれた』ことへの誇り、だ。
「学んで、関学のためにやれることを持って帰れたら」(湯浅)
「関西としても、関学からっていうのはあんまりないんで。しっかりやりたい」(古橋)
「そういう機会に恵まれたのは嬉しいから、結果出せたら。関西やから選ばれるのは少ない。誇りを持って」(丸山)
とりわけ大学レベルでは、東高西低の現状は確か。しかし関西にも、もとい関学には実力を備えたプレーヤーがいるということの証明。「代表がどんな感じかも知りたいし、体感はしてみたい。そのなかで関学のレベルがどこにあるのか知りたい」(丸山)
上ヶ原から放たれる3本の矢は、見事サクラのジャージを射抜くことが出来るだろうか。■
◇3人それぞれが語る、お互いの印象
初の3人同時取材。合宿召集のインタビューが一息ついても、話は尽きず。和気あいあいと盛り上がるなかで、話を振ってみた。お互いの印象、を。
丸山が先陣を切る。インタビュー中もイジっていた湯浅に「関西のやつらは湯浅をイジらないんスけど、それ以外のやつらは(笑)。外から刺激与えないと、しゃべらない」と先制パンチ。これには「成章ではイジられてたんスけど…」と湯浅。
一方、古橋とは高校時代から対戦経験はあったという。「大工大校と夏合宿で試合するんで。そこで『あのFL、上手いな、って』。九州はあまりパス放らなかったけど、関西は反応いいし、パスぽんぽん放る」と印象を語った。高評価を受けた古橋は「高2のときに初めて会って。国体とかで顔合わせる、みたいな。ま逆のタイプのプレーヤーなんで」。
その2人に対し湯浅は「印象は2人ともラグビーに対して真面目。怖かった」とちくり。2人の笑いを誘った。
湯浅と古橋はU17近畿代表でともに戦った経緯がある。両人ともに「覚えてる」と口にしたのは関東代表との試合だ。残り時間1分、関東に負けていたなかでSH湯浅がアシストパス。最後、FL古橋がトライを決め、劇的勝利をおさめた。
どこかしら縁があるこの3人。関学を背負って立つ若き闘士たちに期待はふくらむ。
■丸山充(まるやま みつる)/社会学部1回生/H3・9・10生まれ/筑紫高校/FL/178㌢、85㌔/タックルを武器に接点の強さを発揮する。趣味は洗濯(洗剤、柔軟剤にはこだわり強し)
■古橋啓太(ふるはし けいた)/商学部1回生/H3・7・11生まれ/大阪工大高校/FL/178㌢、88㌔/視野を広げてのプレーを念頭に置き、状況判断をする。一言「応援よろしくお願いします!」
■湯浅航平(ゆあさ こうへい)/人間福祉学部1回生/H4・2・9生まれ/京都成章高校/SH/171㌢、71㌔/持ち味はキック。その武器で高校生次にはレギュラー争いを制した。一言「がんばります!」