「緑川組~MOVE~」
『スピリッツ短信』06/23
投稿日時:2010/06/23(水) 22:44
6月も下旬にさしかかり、上半期も大詰めをむかえている。だが彼にとっては災難続きの苦い一月になっている。ケガで離脱した主将・緑川昌樹(商4)はどうも戦列に完全復帰できずにいるのだ。
始まりは6月5日の立命大戦。後半に左足を負傷、フィールドの真ん中で絶叫し倒れこんだ。試合後に顔をゆがめながらインタビューにこたえた。そして翌週の六甲クラブ戦は欠場。2週間の離脱を経て、ようやくの復帰戦となった同月19日の総合関関戦ではリザーブとして後半からの出場を果たす。が、またも後半に今度は右足を負傷。相手に乗られた形によるものだった。ゲーム終わりには歩くのもままならぬ状態で悲痛な表情をうかべる。完全復帰は遠のく一方だ。
そもそも緑川には、ケガとは疎遠、というイメージがある。入学してこのかた、戦線離脱はあまり記憶にない。実際のところ、負傷はしているのだが。今年の5月の関東学大との定期戦でも公にはされていないが、ダメージを負った。それでも気丈にふるまい、レセプション後にはすぐさま病院に連絡を取った。その気丈ぶりには意地でも「離脱をしない」「早々に治す」といった心持がにじみでていた。たとえ負傷しようとも、早く手を打ち、最大限のパフォーマンスを発揮できる状態で次に挑む。緑川昌樹のプロフェッショナルな一面といえよう。
しかし、やはり今年も主将のジンクスが襲った。毎年の関学ラグビー部主将がケガに見舞われる、離脱を余儀なくされる、という嬉しくない運命。シーズン前に緑川は話していた。「ケガだけはしたくない」。チームを引っ張る者としての決意がそこにはあったに違いない。
総合関関戦で傷を負った主将は週明けの練習をリハビリ組に混じって行なった。「だいぶマシにはなった。今週は調整で」。病院の診察ではプレーはできると言われた。だが同時に、ぶりかえす恐れも示唆された。偶然にもAチームはスケジュール上2週間の空きがあることも重なり、ケアに専念することにした。むろん練習が終わってから患部を冷やす際には、まわりのやんちゃな部員たちから攻撃を受け、発狂するのだが。
受難続きのキャプテン。復帰時期については明言はさけている。だが完全復活の鐘が鳴るとき、フィールドで大暴れする背番号2の姿がそこにあるだろう。誰もが、待ちわびている。■
▲氷漬けのバケツに足を突っ込み、患部を冷やす。周囲から水をかき混ぜられるなどイジメられ、苦い表情。
【災いか、ハプニングか?関関戦でまさかの…】
その瞬間、会場の空気が止まった。関関戦直後のレセプションで緑川がまさかのミスだ。これも災いか、えてして悪いことは続くものである。
事はレセプションも終わりにさしかかり、締めの部歌の交換に入ったときのこと。関大側が終わり、お次は関学の番。主将が前に出て、音頭をとる。
「うえがーはら、ふーるーえー」
…(会場沈黙)…
そう、部歌の音頭は「甲の山下」だ。だが、主将は意気揚々と校歌の方を叫んでしまったのだ。ぴたりと空気が止んだのち、苦笑いに包まれテイク2ではしっかり部歌を斉唱。会を締めた。
ラグビー部の逆転勝利もあり、今年の総合関関戦で関学は総合優勝(2年連続)を果たした。その知らせに「そうスか!それが一番」と目を輝かせた。校歌を叫んだのも、愛校心の表れということで。