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「緑川組~MOVE~」

『スピリッツ』vol.10

投稿日時:2010/06/14(月) 02:49

 持ち前の巨体でラインを破壊することを使命に、臼杵春吉(法1)は初のAチームスタメン出場を果たした。あこがれの先輩がつけた「背番号5」を受け継ぎ、今年はこの男が大暴れする!




【朱紺の意志】


 ラインブレイクを意識し、力強いプレーを監督ら評価されて勝ち取ったというスタメン。主将・緑川(商4)が「お前は5番でしか使わん」と言うほどに、すでに相当な期待を背負っている。だがそれだけに、中等部から親しんできた朱紺のジャージがやけに重く感じた。そんな中、人よりも早く会場に行き、自身が高校1年世次に花園に出場したときの映像を見てモチベーションを上げる。「高2の頃からいつもやってる」と、彼の心の中には誰よりも強い朱紺の意志が宿っている。


 試合は激しい雨の降りしきるなかで行われたが、今年初の完封勝利あげた。ここのところアタックよりも重点を置いてきたというディフェンス練習の成果だった。だが、「敵陣に入ったときに取りきれないトライがある点は課題」と、今週緑川に代わってキャプテンを務めた林(文4)は振り返る。そして臼杵も「試合前から緊張しっぱなしだった」と、思うようなプレーが出来ずAチームの洗礼を浴びた。


【〝5〟の系譜】


 臼杵の背負わんとしている「背番号5」には特別な意味がある。昨年まで関学不動の5番であった松川太郎(経卒)は彼の憧れの選手である。敵に当たられても倒れない松川の姿こそ、臼杵のイメージするLO像であり、5番なのである。


 1年生次にしてスタメンに抜擢されることはプレッシャーでもあるが、「1回選ばれたからにはずっと上のチームに居続けたい」と意欲は十分。出る試合があれば全部全力でプレーするという臼杵。昨年、何度もスタンドを、フィールドを沸かせた松川の「暴れん坊」っぷりが今年も臼杵によって再現される日が来るかもしれない。無限の可能性を秘めた臼杵の今後の成長に期待だ。


(記事=山本大輔 写真=坂口功将)



臼杵春吉(うすき・はるきち)/法1/関西学院高等部/H3・4・26/187㌢・106㌔/趣味はオーディオ機器。「外国製のやつは音質が違う」らしい。